2005年06月01日

超・空挺砲艦「火龍」3 激突!マリアナ沖殲滅戦

コスミック出版/2005年6月1日初版発行/857円/ISBN4-7747-1078-4


超・空挺砲艦「火龍」(3)


マリアナを次の決戦海面に決めて航空要塞化を進める帝国陸海軍。乱暴なことに、実際に爆弾を爆発させての緊急補修訓練まで行なって守りを固めようとしていた。さらに、かつてないほどの厳重な護衛の元に大規模な船団を送り込み、戦力の増強を行なう。一方、火龍の大火力で重爆に大きな被害を出した米軍も、B-17を改造したガンシップを投入する(B-40ベースか?)。そしてマリアナ沖で両軍の機動部隊と陸上基地航空隊の激しい戦いが始まるのだった。

意外にも決戦のマリアナの描写は終盤の2割ほど。陽動作戦や訓練にかなりのページが割かれていて、配分がややアンバランスな気がしました。全体的にみて面白いのですが、本書のタイトル的には主役の活躍がほとんどないのが残念な気がしてなりません。結局大火力で空挺砲艦タイプが活躍したのは1巻だけという感じですからねぇ。設定は面白かっただけに少々惜しい感じがします。204Pにある「新鋭、彗星艦攻」の表現にはげんなりとさせられましたが(流星の間違いか?)、目立つマイナス点はそれぐらいで、今回もなかなか楽しませてもらえましたね。
posted by 伊織舞也 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 陰山琢磨

2005年05月27日

皇国の機動要塞2 ラバウルの長い夜

経済界/2005年5月27日初版発行/857円/ISBN4-7667-3108-5


皇国の機動要塞(2)


ガルダ島付近の海底から手にできる天然ガスを合成石油へ精製している日本という設定のシリーズ2巻目。国防上重要な拠点であり、それを守るために連合艦隊は戦略を練り直すことになったのが前巻でした。本巻はガルダ島を守るためにグアムを攻略する帝国海軍とその陸戦隊の活躍が見せ場でしょうか。第五航空戦隊の奇襲で大損害を受けたホーネットがグアム島の浅瀬へ乗りあげて島の防衛拠点になってしまうあたりは斬新だと思います。空母とはいえ、その火力と防御力は陸戦隊にすれば脅威となる要塞のようなもの。一夜にして出現した大きな障害を排除していく陸戦隊の活躍は地味だけど重要ですね。

グアムの攻略と同時にラバウルの攻略も行なわれていますが、なんとも帝国らしくないやり方で、事前にオーストラリアに交渉しています。戦争が終わったら返還するから使わせろ、ということですね。対価はまた石油のイギリスへの輸送と英連邦の通商保護らしい。油に余裕があると帝国軍人たちはこんなにも柔軟になれるんでしょうか。なかなか興味深いです。

それと、日米とも戦争(紛争?)を二国間で解決しようとしているために、英連邦もしたたかに取引で黙認した感じ。そのラバウルは、ガルダ島を守りたい日本とフィリピンを守りたい米国の双方に非常に重要な位置にあるわけで海空戦が発生する……と。なかなかうまくストーリーが組み立てられていますね。ヨークタウン、レキシントンの2空母でラバウルを襲う米機動部隊と、ラバウルへ進出した基地航空隊の戦いがクライマックスでしょう。珍しく双方とも夜間の航空戦を挑むあたりも比較的珍しいかもしれません。山本長官の判断ミスで遊軍となってしまっている空母部隊は次巻で活躍するのでしょうかね?
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新スカーレット・ストーム 南洋の大海戦

銀河出版/2005年5月27日初版/857円/ISBN4-87777-073-9


新スカーレット・ストーム


マーシャル沖の戦いには勝利した日本海軍だったが、連携のまずさで損害も大きく再編成に入った。海軍の予想に反して短期決戦を挑んできた米海軍の攻勢でマーシャルはあっさりと占領され、トラック近海での戦いが始まってしまう。トラック防衛のために出した栗田の指令は、機動部隊の自由を奪い空母を失うことになった。諦めずにねばり強く戦う機動部隊同士。主力の戦艦部隊も砲戦を開始し、トラック沖で死闘が繰り広げられる!

前巻は無理に萌えを取り入れようとして中途半端な作品(単なるコスプレ)という印象でしたが、今回はタイトルに新が付いてのシリーズ2巻目となりました。設定とキャラをうまく生かし切れていない感じの前巻と比べて、萌え系らしくキャラ優先になって前巻よりもだいぶまとまりがよくなっていますね。ようやく萌えに1歩踏み込んだという感じです。タイトルに「新」が付いているのはなぜかと思っていたけど、なるほど納得。方向性がはっきり定まったのね。海軍指定の水着がスク水だったりして、前巻では著者が萌えにためらいがちというか戸惑っているかのような、何か一歩踏み込めていない感じを受けたんだけど、著者はついに何か吹っ切れたのでしょうか?

それにしても、戦艦以外はもはや第二海軍ばっかりな感じがするんだけど、とうとう戦艦部隊が壮絶に撃ち合ってしまいましたねぇ。シリーズはこのあともう1巻あるらしいけれど、被害を考えるともはや戦艦部隊に登場する機会がなさそうな気がする。次巻は第二と第一の主従がもう入れ替わっていそうでドキドキものかも。本巻の最後の写真のことに関する部分は「これにイラストがあったらどうしよう?」とビビリながら読んでしまいました。いやぁー、イラストはなくてよかった。血みどろで焼けただれて、手足が吹き飛んでいたりすると萌えとは相反しますからねぇ。
posted by 伊織舞也 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 中岡潤一郎

2005年05月09日

興国の盾 通商機動艦隊 ソロモン機動作戦

学研/2005年5月9日第1刷/850円/ISBN4-05-402786-5


興国の楯(ソロモン機動作戦)


逓信省の通商機動部隊は、最前線のニューギニア方面で活躍していた。新たに陸軍から優秀な商船を譲り受け、20cm砲搭載で搭載機20機の改装空母を手にする。上陸支援のための搭載砲の初陣は駆逐艦との遭遇戦で活躍。2隻を撃沈するという戦果をあげた。だが、空母ホーネットが遊弋し、神出鬼没の奇襲をかけてきているニューギニアは戦線が膠着したまま帝国海軍は戦力の多くを割かねばならなかった。そこで通商機動部隊の登場なのであります!

相変わらずコメディ的なこのシリーズ。船長が「お前のほうが向いている」と船長代理を指名するようなすごいお方が登場しています。前巻で活躍した魚雷艇駆逐艇はタンカーを発見して襲撃するんですが、自動砲の命中で燃料が漏れ始めたところへ火炎瓶の投擲でタンカーを撃沈するという衝撃的なシーンがあったりします。すごいよ、通商さん。火炎瓶で撃沈って……。それがホーネットの補給に向かっていた油槽船だったからドタバタした展開で両軍とも計画が狂っていくという大混乱(ステキ)なお話でした。なんといっても本書で注目すべき部分は空母ホーネット。燃料は補給されない、駆潜艇の砲撃で火災発生、陸軍航空隊の攻撃で被弾などなど。襲いかかる脅威から逃げ切れるのか? いつ致命的損害を受けるんだろう、それともかろうじて逃げ切れるのだろうか……と気になりながら読みました。なんだか、巻が進むごとにふがいなくなっていく海軍はどこまで行くのかも気になったり。楽しみなんだけど、これ続刊ですよね?
posted by 伊織舞也 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 林譲治

2005年04月29日

巨翼の海原 下 連合艦隊加州戦記

銀河出版/2005年4月29日初版/857円/ISBN4-87777-072-0


巨翼の海原(下)


二式特殊輸送飛行艇「大鷲」を使って陸軍部隊をピストン輸送する日本軍は、ほかにも新兵器を投入して戦力を強化していた。
混乱する前線の状況が把握できずに効果的に防衛ができない米軍とは対照的に、次々と増援が到着する日本軍は押しまくる。
サンベルナルジノでの戦車戦での勝利、フーバーダムの破壊と勢いに乗る日本軍だったが、終戦へ向けての工作が始まっていた。

上空援護用の戦闘機を成層圏を飛行する巨大飛行船で輸送したり、新型戦闘機がミッドウェーで大活躍していたりと、さすがは技術立国を目指した結果だけはあるかなという展開が待っていました。
航空機だけでなく戦車も日本側のほうが優秀というあたりからして、もはや米軍の取るべき選択肢は物量しかないんだけど、制空権がないからなかなか送り込めないあたりが新鮮。
米本土へ上陸する架空戦記はほかにもあるけれど、ここまで優勢なのは珍しい気がしますね。
世界中どこでも好きなところへ陸軍を送り込めるという脅威的な大鷲の存在が目立つイイ作品でした。
終戦の交渉でも影響を持っていたようだし、タイトルになるだけあって大活躍です。
作品中で開発段階として登場しつつ、活躍もないままに終わった兵器なんかもあるけれど、もしかして終わったのは日米戦だけで続きの話が出たりするんでしょうかね?
posted by 伊織舞也 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 橋本純

2005年04月25日

遠き曙光1 柱島炎上

中央公論新社/2005年4月25日初版発行/900円/ISBN4-12-500893-0


遠き曙光(1)


ハワイ真珠湾を目指し択捉島に集結した機動部隊、そして南方作戦の準備で出撃していった各艦隊。手薄になった日本本土を、ハルゼー提督率いる空母五隻を基幹とした任務部隊が奇襲する。日本側がまったく想定していなかったアメリカ側からの昭和十六年十一月二十六日の開戦。「柱島空襲サル。演習ニアラズ」との警報もむなしく、長門、陸奥、扶桑、山城が沈没する。伊勢と日向も中破し、主力艦は壊滅した。長門にいた山本長官も戦死し、帝国海軍は大混乱に陥りつつも反撃を試みる……。



あざやかに奇襲された連合艦隊は戦艦群がいきなり壊滅しています。この作家はこれまでの作品で日本側をトコトンいじめる傾向があるのですが、開戦初日でここまで激減させてしまうとは思いもよりませんでした。予想以上の不利なスタート。竣工前の大和にも被害が出ているし、暗雲が垂れこむ新シリーズですね。全ての作戦が発動前に再検討となった日本軍は、台湾を基点にフィリピンへ向かう奇襲部隊へ反撃を開始していますが、そこでも龍驤を喪失しているなど失点続き。フィリピンへ空母が五隻(内二隻は被害あり)も入ったら南方作戦が危機的状況になるわけですが……。この危機を救えるのは南雲機動部隊しかなさそうな感じだけど、次巻でどのように関わってくるのでしょうかね?

posted by 伊織舞也 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 横山信義

2005年04月10日

空母艦隊血風録3

実業之日本社/2005年4月10日初版発行/848円/ISBN4-408-60315-5


空母艦隊血風録(3)


両軍とも多くの損害を出した戦いから戦線が膠着して1年。アリューシャンで日米両軍の戦艦部隊が激突。霧の中で始まった砲撃戦で双方の戦艦は壊滅的な打撃を受けるという結果を迎える。そのため残された戦力は再建されたばかりの空母部隊となった。ニュージーランドの連合国離脱の動きのある中、南太平洋で山口多聞とハルゼーの最終決戦が始まろうとしていた。

シリーズ最終巻となる本巻。連合艦隊旗艦の武蔵と太平洋艦隊旗艦のアイオワが最前線で戦うことになる混戦のアリューシャン沖海戦は前座。あくまでもメインは山口多聞とハルゼーの戦いなのでした。前巻での空母大量喪失をどうカバーしているのかと思ったら、伊勢と日向を空母に改装するという意外と強引な展開。あり得ないような部隊展開から始まる海戦の結末はもっと強引で、2人が殴り合いをするという爆笑もののシーンがあるんですよね。ウケました。それにしても、ラジオでヤマグチへ果たし状を突きつけるハルゼーの行動がイイ。
posted by 伊織舞也 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 吉田親司

2005年03月25日

大日本帝国欧州大戦 風雪の戦場 下

銀河出版/2005年3月25日初版/857円/ISBN4-87777-070-4


大日本帝国欧州大戦(下)


ナチス崩壊でソ連共産党対西欧諸国で開戦している世界が舞台です。前巻はドイツに派遣されていた帝国陸軍が巻き込まれて戦っていましたが、今回はフィンランドに帝国陸海軍が要請に応じて派兵しています。赤軍対フィンランド・日本の戦いがメインです。しかしなんといっても、登場兵器が渋い。渋すぎです。九七式戦や九六式陸攻などで戦っていきます。というかそういう年代が舞台なので仕方がないといえば仕方がないのでしょうけれど。何せそれらの兵器が最新というものなので。西欧諸国は砕氷艦を投入してクロンシュタットに戦艦部隊が殴り込みを掛けるぐらい。読んでいて、なるほどそうだよなぁ、というのが多いものの、あまりの渋さに読み手も不安になってしまいます。この話は最後まで語られるんだろうか、と。これが下巻になってますが、もしかしてプロローグ的なこの上下巻だけでもうこのシリーズは終わりなのでしょうかね? すごいところから設定を引っぱる大作かと思ったんですが、これで終わりだったりすると「それなら商業ベースで出すのはどうなのよ?」的作品の予感がしてなりません。大戦終結まで続く……んですよね?
posted by 伊織舞也 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 高貫布士

2005年03月03日

旭日の鉄騎兵 満蒙に吼ゆ!

学研/2005年3月3日第1刷/850円/ISBN4-05-402680-X


旭日の鉄騎兵満蒙に吼ゆ!


満州を日英米で運営していて、英米側についている日本という世界が舞台のシリーズの1950年代の話。10式中戦車T-51とドイツ軍最新鋭の128mm砲装備の駆逐戦車エレファントの戦いが描かれています。いやぁ、ほかのもあるけど、脇役というか引き立て役みたいになっているし。優秀な戦車を輸出している日独の戦いは、前巻のゴラン高原から満州に舞台が移りました。バケモノじみた戦車の陸戦が主体の作品ですが、高速徹甲弾の改良や防御面の改善といった技術面や、満州軍の描写などが多め。そのへんも面白いとは思いますが、激戦が燃えるんじゃー、という人には少々物足りなく感じるかもしれませんね。

あ、そうそう。これの初版の発行日は2005年を2004年と間違っていました。うーん、こんな校正ミスがあるなんて、出版大不況の影響で学研も進行が大変なことになっているんですかねぇ。
posted by 伊織舞也 at 00:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 陰山琢磨

2005年03月01日

決戦空母「桶狭間」1 マリアナ陽動作戦

コスミック出版/2005年3月1日初版発行/857円/ISBN4-7747-1068-7


決戦空母「桶狭間」(1)


不毛なガダルカナルから日米両軍が撤退したこの世界では、山本長官の指揮でミッドウェーからの撤収作戦が行なわれようとしていた。暗号が漏れていると危惧する長官と、メンツからそのようなことはありえないと主張する軍令部の対立する中、長官がミッドウェー島を視察。そこで仕掛けた罠で決戦海面をパラオに誘導した帝国海軍だが……。

書名が途中から変わるのはあまり歓迎できませんが、装甲空母「関ヶ原」シリーズの続刊です。書名が変わると見つけにくくなり、認知度も低下するし。新作優先の人にはタイトル変更は目につくのかもしれませんが、本書が著者自らのBLOGで著書紹介を『決戦空母「関ヶ原」』と混ざった誤った書名で3カ月以上公開されていたわけで、読者へのアピールという面でマイナスが目立つような気がします。コアなファンは気付くだろうから書名が変わっても大丈夫だろうけどねぇ。

それはともかくとして、ミッドウェーからの撤退が本書のメインとなっています。撤退に伴い、山本長官が仕掛けた罠が発動するまでという感じ。パラオでの戦いが始まったところで終わっていて、早く続きを出してくれ状態だったり。それにしても、対潜哨戒機東海が登場するのが渋いですねぇ。でもでも、活躍するのかと思いきや、嵐に遭遇して墜落してしまうし。罠を完全なものにするという意味では活躍したのかも?
posted by 伊織舞也 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 吉田親司