2005年11月05日

興国の楯 通商護衛機動艦隊 必中!「愛国」超兵器作戦

学研/2005年11月5日第1刷/850円/ISBN4-05-402918-3


興国の楯(必中!「愛国」超兵器作戦)


南方作戦を順調に進めているかのように思える大日本帝国も、輸送艦艇では順調とはいえないでいた。そこでソ連を相手にバーター取引をして戦時急造艦を造らせるというドイツへの裏切りともいいかねない取引をしていたのだった。
その取引がなければ本来は存在もしなかったような輸送船により通商さんは任務をまっとうしていた。
ニューギニアの戦力を強固なものにしようという帝国側と、そうはさせじとする米軍の戦いは、4隻の輸送船に6隻の護衛を付けた船団と、それを襲撃すべく潜水艦と4隻の正規駆逐艦を派遣した米海軍との戦いは第一ラウンドでしかなかった。
米太平洋艦隊司令部は、貴重な空母と戦艦をも投入する決断を下す……。

シリーズ4巻目の本書では、冒頭からあやしげな取引が日ソ間で行なわれています。
1万トンクラスのスクラップをソ連に提供し、見返りに鹵獲品であるドイツの液冷エンジンの提供を受けているというのが意表を突かれる展開でしょうか。
廃船を受け取るつもりでいたソ連側はほとんど損害らしい損害もない重巡ソルトレイクシティを受け取ることになるという……。
「そんなものをもらってしまって大丈夫なのかよ」という感じで、これは今後の物語展開に大きく影響してきそうな予感がする。
ソ連の外交に影響が出てくるんじゃなかろうかと思うわけです。
まあ、受け取った液冷エンジンは飛燕なんかに使われて高性能な新型機が前線で活躍するという展開で進んでいくあたりはある意味予想通りかもしれません。
通商さんの活躍は船団護衛の成功だけでなく、彗星1機でホーネットを撃沈したりしていて大活躍しているのがイイですね。
タイトルにある「愛国」ってなんだろうというのも驚くべきもので楽しませてくれました。
何よりも凄いのは終盤における戦艦と戦う辻参謀という驚愕の展開。
あまりのことに笑い転げてしまいそうで、とにかく必読です。
posted by 伊織舞也 at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 林譲治

2005年11月03日

続大日本帝国欧州大戦 神々の戦場 上

銀河出版/2005年11月3日初版/857円/ISBN4-87777-078-X


大日本帝国欧州大戦(続 上)


ポーランドを占領したソ連はその矛先を東欧諸国へと向ける。ルーマニアとブルガリアへ進駐した赤軍部隊はバルカン半島の占領を目指し、イタリアをそそのかして味方に引き入れギリシャへと侵攻を開始した。
スターリンのきまぐれで試験もそこそこに量産が始まったT-34/76の配備も進み凶暴さを増した赤軍部隊。
要衝テレモピレーでソ連赤軍を待ちかまえていたのは大日本帝国陸軍の派遣部隊だった。

ヒトラーが暗殺されてドイツと日本が連合国側に参加しているという世界が舞台の「大日本帝国欧州大戦」の続編です。ちゃんと続いてくれてよかったよぉ。
まず最初に感じたのは、久々に厚い架空戦記ということですね。250ページあるものなんて、このところほとんど見かけていませんからね。読み応えありました。
前半は赤軍の侵攻状況だとか迎撃する連合軍側などの状況描写がメインで、盛り上がりに欠けるまま進んでいるのが残念ではありますが、これ以前の2巻を読んでいない人にはないと困る部分っぽいから仕方がないのかな。
本書で熱いのは後半の4章以降で、テレモピレーで歩兵一個連隊で軍団規模の赤軍を迎え撃つシーンでしょう。
教科書的な作戦しか遂行できない赤軍を相手に奇策で対抗していくあたりは見ものですね。
増援されたドイツ国防軍の高射砲部隊もさり気なく活躍しているのがイイ。
帝国海軍はさっぱり登場しないのがやや物足りない気もしましたが、次巻も楽しみであります。
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2005年10月05日

死闘!特設第三水雷戦隊 Z艦隊撃沈作戦

実業之日本社/2005年10月5日初版発行/857円/ISBN4-408-60339-2


死闘!特設第三水雷戦隊


戦艦の砲戦距離の増大にあわせ、対抗上水雷戦隊も魚雷の射程増大などの研究が必要となった。そこで将来水雷術研究会が開催され超高速駆逐艦や酸素魚雷などの研究候補が上げられていく。
そんな研究会で海軍水雷学校普通科学生の垣崎少尉は議事録をとっていたが、面白半分に超大型空気魚雷と書き加えてしまう。それがやがて120センチ空気魚雷という一撃必殺の兵器乙標的として研究が始まる。掃海作業機を兼ねて開発が進んでいく巨大魚雷。
そして乙標的は開戦直後にマレー沖でプリンスオブウェールズを相手に初陣を迎えるのだった。

120センチ魚雷とは破天荒な兵器が出てきましたね。61センチ魚雷の10倍の破壊力だそうで、命中すれば戦艦ですらも一撃で撃沈ほぼ確実です。
そんな大威力の魚雷の上に潜水艦の艦橋よろしく乗っている誘導者の脱出艇がなんとも怖ろしい……。
もはやこれは人間魚雷そのもので、かなり特攻兵器に近いですね。
この魚雷の開発のために冶金技術が向上して航空機用の新型発動機の開発に成功していたりするなど、次巻以降への伏線らしきものがあって読んでいて面白いかな。
試作機による偵察(?)でプリンスオブウエールズが反転して乙標的が活躍する場が出てくるあたりが山場。
しかし、P189で何度も出てくるの「劣性」って「劣勢」だろうとか思ってしまう。作家のミスとは思えないから編集側のミスなのかねぇ。
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2005年10月04日

皇国の機動要塞3 最終艦隊決戦!

経済界/2005年10月4日初版発行/857円/ISBN4-7667-3110-7


皇国の機動要塞(3)


戦艦ノースカロライナを主力とする艦隊でラバウルを潰そうとした米海軍は、第七戦隊の夜襲を受け重巡ミネアポリスとポートランドを撃沈されノースカロライナに魚雷1本が命中。第五航空戦隊の航空攻撃でトドメを刺される。
航空機に戦艦を撃沈されたという事実を信じられないままに艦隊決戦へと突き進む米海軍を待つ運命は?

潜水艦の集中攻撃や瑞鶴からの夜間航空攻撃で次々と主力艦をうち減らしていくのに、水雷戦隊は活躍できなかったり主力艦が戦争に寄与することなく終戦を迎えてしまうのが意外です。
あっさりと空母を失う米海軍や、同じく敵襲を受けて4空母を突如発着不能にされる帝国海軍。サブタイトルから激闘を期待しているとちょっと拍子抜けしてしまいます。
栗田提督が大活躍しているという架空戦記では非常に珍しい展開が新鮮な印象を受けました。

第五航空戦隊と第七戦隊を混同して一部が第五戦隊になっていたりという具合におかしな部分があったりするんですが、どうも校正をした編集者に知識がなくていじってはいけない部分を変にいじってしまったんじゃないかという気がする。
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2005年10月01日

時空連合自衛隊1 不沈戦艦大和、南海の逆襲!

コスミック出版/2005年10月1日初版発行/857円/ISBN4-7747-1086-5



天変地異で1945年と2010年の西日本が入れ替わってしまった世界を舞台にした架空戦記です。
どちらか片方をテーマにしているわけでないのが特徴かな。
1945年に転移してしまった西日本は末期的な戦いに巻き込まれ、2010年は中国との開戦直前というべき状態に置かれていている。

航空自衛隊が演習していた空域が、転移直後に沖縄特攻の大和の近くだったため救出できるとか時空転移の範囲がご都合的なのはお約束。
本巻は主に過去へ転移してしまった西日本の自衛隊の戦いがメインで綴られている。
敵機動部隊の撃破と沖縄からの撤退作戦を行ないつつ時間を稼ごうとする感じのストーリー展開。
補給や生活必需品を考えれば時間稼ぎはデメリットばかりだと思うんだが……。

逆に、東日本のほうは開戦危機の最中に戦力の半分を失い、ほとんどが戦力にならない旧軍になってしまっているさまが軽く語られる程度だ。
まあ、空母信濃が戦力に寄与する感じではあるけど、それぐらいね。

落としても落としても無限に前線に戦力が補充されてくる恐怖と戦っている西日本の航空自衛隊が大変なことになっているけど。
まだ破綻までは1巻目ではいかなかった。
でも逆襲というサブタイトルは嘘で、大和は修理中で戦線復帰していないんだよね。

なお、2008年1月に全3巻をまとめた文庫本が発売となっている。
これから読もうという人は文庫本のほうがお得だ。
posted by 伊織舞也 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 遥士伸

超戦艦大和 龍神の艦隊 最終決戦

コスミック出版/2005年10月1日初版発行/857円/ISBN4-7747-1084-9


超戦艦大和


タイトルが変わっていたので見逃しそうになりましたが、龍神の艦隊の最新刊です。そう、あの大和や武蔵が合体・変形してしまうという驚愕の架空戦記ですね。
今回は3番艦信濃が登場します。艦種は潜水艦……。
なんとなく、前巻までの話で次は潜水艦かなぁ……とそんな感じはしていましたが。
本書の見どころは、生命抹殺砲「オルゴン・バスター」で押されている帝国海軍航空隊の復権です。
意表をついた対策でマリアナ沖で大反撃に出るところは燃えますね。
マッドサイエンティストを投入している米軍の振動砲(対象物質を破壊できる振動を世界中のどこにでもピンポイントに狙って放てるという超兵器)が登場して、とんでもない展開になっていくところが意表をつかれます。
最後まで奇想天外な展開で楽しませてもらえる良作でした。
突拍子もない兵器・設定に抵抗感がない人ならばですけどね。
posted by 伊織舞也 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 中里融司

2005年08月25日

遠き曙光3 蘭印挟撃

中央公論新社/2005年8月25日初版発行/900円/ISBN4-12-500915-5


遠き曙光(3)


南方の資源地帯を抑えた日本軍への英米の反撃が始まった。英東洋艦隊と米太平洋艦隊が連携し、蘭印を挟撃するかのように進撃してきた。
メダンをソードフィッシュで攻撃してきた英東洋艦隊へ反撃を行なう帝国海軍は、第一南遣艦隊に増派された空母隼鷹と第二二航空戦隊でスマトラ沖の英軍空母に襲いかかっていく。
だが、本命の米海軍の新鋭戦艦部隊がバリクパパンへと迫っていた。迎え撃つのは伊勢と日向。はたして戦いの行方は?

2巻目と異なり帝国海軍の苦戦が続くストーリーとなっていました。やはりそうなるのかという感じですね。
インドミタブル、フォーミダブルの航空攻撃で翻弄され、かなりの損害を出しているし。反撃も出撃機数の割にフォーミダブルを撃沈するのみと戦果控え目であります。
バリクパパンでは伊勢級と戦わせるのはノースカロライナ級2隻とイジメていますが、伊勢の奮闘が熱くて本巻の山場かも?
ただ日向のほうはあっさりとしている感じで終わっていてアンバランスな印象を受けます。
たぶん戦隊司令の視点っぽくしようとしたからだと思うんだけど、いくらなんでも少なすぎるというか。
艦名が登場した途端に断末魔状態ですからね。
次巻はいよいよパレンバンをめぐる激闘となります。主力の第一航空艦隊の活躍に期待ですね。
posted by 伊織舞也 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 横山信義

2005年08月01日

決戦空母「桶狭間」2 フィリッピン沖攻防戦

コスミック出版/2005年8月1日初版発行/857円/ISBN4-7747-1081-4


決戦空母「桶狭間」(2)


お互いに大損害を出したパラオ沖の海戦。余力のある米軍は上陸を成功させ戦線を一歩推し進めていた。次なる戦場はフィリピン。全滅覚悟で死守しようと陸海軍は協力して立ち向かう。

西村艦隊、第一遊撃部隊とも護衛の空母を持ってレイテ湾へ殴り込みをかけているため、大きな被害が出ていない砲戦部隊が実質主役かな。大和級の前に立ちふさがる輸送船団護衛の旧式戦艦部隊から、駆けつけるアイオワ級との戦いは燃えてきますね。それにしても、本来主役となるべき桶狭間があまり活躍しているように見えないのが残念な気がする。

意外性では関ヶ原と瑞鶴の機動部隊とは別に、隠し球の信濃、雲龍、天城を運用しようとするあたりが面白い。そこまでよく航空戦力を回復できたよなぁ……と思うものの、関ヶ原の母体があれだから天城は出てくるべくして出てきたということかも。もしや最終巻で一暴れしてくれるのか!?
posted by 伊織舞也 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 吉田親司

2005年06月25日

戦艦大和欧州激闘録 鋼鉄の破壊神

銀河出版/2005年6月25日初版/857円/ISBN4-87777-074-7


戦艦大和欧州激闘録


ヒトラー率いるドイツ第三帝国が怒濤の勢いで欧州を席巻しているという設定の架空戦記です。日本は中国へ派遣していたドイツ義勇軍のスツーカの攻撃で空母加賀など3隻を失った結果、国民に反独感情が広がり、日英同盟復活へ進んでいくという展開。混乱の中の近接遭遇戦で大損害を受けた大和を、ノーフォークで大々的に改装することになった大和が凶悪な戦闘力を得て活躍していくという物語です。

お互いに相手を恐れていた日米の技術士官が協力して1隻の戦艦に強力な戦闘力を与えようという少々妙なストーリーとなっています。
その協力は仏露伊を制圧して海軍戦力が急増したドイツ海軍に対抗するためではありますが……。
航空主兵が証明されているのにそうなっているのは間違いなく作家の趣味でしょう。
その時点で大艦巨砲燃えな読者層を狙っていることが明白で、実際砲戦シーンがかなり多くあって燃えてきます。
H級やソユーズ級を相手にした砲戦なんかは、なかなか興味深いものがあるかと。

しかし、必要以上に時系列をゴチャゴチャにして飛ばしているので読みにくいったらありゃしない。
その上に、初歩的なミスを連発していてしらけてくる部分がある。
ソユーズ級の要目が40センチ連装砲4基なんてなってたり(イラストは3基だしほかのシーンではちゃんと3基と書かれていたから設定改変ではない)、第二戦艦群が壊滅しているのに第一戦艦群が壊滅なんて書かれていたり、あまりにもずさん。
作家を続けるのなら、この著者はもうちょっとだけじっくり読み返してから原稿を送るようにすべきだと思う。
それにしても、あとがきの2004年というのはマジなのだろうか?
posted by 伊織舞也 at 00:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 内田弘樹

遠き曙光2 南シナ海海戦

中央公論新社/2005年6月25日初版発行/900円/ISBN4-12-500906-6


遠き曙光(2)


柱島奇襲で混乱する海軍の連合艦隊司令長官に陸軍嫌いの豊田副武がGF長官になる。だが、目前で海軍艦艇を守るために戦った陸軍戦闘機隊の活躍があっては、彼の口から出たのは「陸海軍の協調」という言葉であった。シンガポールの英東洋艦隊と合流して帝国へ物資が入らないように封鎖しようとする米海軍&英海軍。そこへ戦いを挑む帝国海軍最強の一航艦というストーリーです。

空母4隻を主体とする米機動部隊と、戦艦2隻を主力とする英東洋艦隊を相手に戦う帝国陸海軍というわけですが、海軍の基地を守るために陸軍が最新鋭の隼と鍾馗を装備した戦隊を投入など意表をつく展開となっていました。緒戦の敗北で慎重になっている帝国海軍は索敵・連携を重視して効率的な組織運用が自然と行なわれていくところがやや意外な感じですが、なによりも驚きなのはいつも日本軍にピンチを持ち込む著者が、今回は思う存分とまでは行かないかもしれないものの、帝国海軍を活躍させていることですね。緒戦の敗北と山本長官の戦死で、必要以上といえるほど慎重になった南雲長官が沈着冷静に航空戦の指揮を正しく執っていくあたりは驚きの展開ですよ。

空母の前衛で先行する砲戦部隊という体制がもう始まっているし、その砲戦部隊が英東洋艦隊と戦うというあたりが本書のクライマックス。
プリンスオブウェールズとリパルスに不利を覚悟で砲戦を挑む金剛と榛名の苦戦がストーリーを盛り上げてくれます。
海戦序盤に突入をしくじった水雷戦隊のミスで苦戦となるあたりは、またまたこの著者のお約束が来たのか、と思いましたが、意外に健闘。
シリーズ2巻目は予想外に活躍する帝国海軍が目立っていました。
これ、次巻でズドンと落とされるんでしょうか(本巻は引き立てのための話?)、それとも本シリーズは意表をついて帝国海軍が活躍するんですかね?
かなり気になるところです。
posted by 伊織舞也 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 横山信義