2007年12月30日

灼熱の巨竜 最強戦艦決戦 ラバウル強襲1943

実業之日本社/2007年12月30日初版発行/857円/ISBN978-4-408-60475-6




ラバウルをめぐる激闘を描いた架空戦記。
戦艦大和を旗艦とする第二艦隊がラバウルに入港したところから激闘が始まっている。
本書はタイトルに反して、大和と武蔵が狭いラバウル軍港内で米機動部隊艦載機の空襲を受けて大損害を出してしまう展開となっている。
総ページの6割ほどまでは第二艦隊の苦闘と反撃に出た基地航空隊と陸上基地へ進出した第三艦隊の艦載機の戦いが綴られていた。

気になるタイトルの戦艦決戦部分は「それはないだろう?」という感じで、残りの4割の部分に戦艦を支援する補助艦艇同士の戦いなど込みで書かれている。
無傷のサウスダコタ級とノースカロライナ級の計6隻を迎え撃つのは、大損害を受けた大和と無傷の長門を主力とする艦隊。
武蔵は空襲の被害も回復していなくてラストでちょっと出てきて戦うのみ。
「最強戦艦決戦」なんてどこにもない。
空襲ですでに満身創痍となっている大和とノースカロライナ級4隻の戦いや、大和が撃破されたあとに出てくる武蔵が数回射撃するだけではどう考えてもタイトルに問題ありだ。
タイトルに惹かれて購入した読者の期待を裏切ることは間違いなし。
作家がつけたタイトルか編集サイドがつけたタイトルかはわからないが、いずれにしろ適切じゃないタイトルをつけている騙し的売り方はいただけないと思う。
架空戦記はただでさえ他ジャンルと比べて作品の平均的な出来が悪いジャンルなのに、だめ押しの追い打ちを掛けたら購入する読者が減っていくばかりとなるよ……。
ページ数は多くていいんだけど、タイトル騙し系じゃ意味ないよなぁ〜。
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2007年06月05日

紅蓮の翼 戦闘攻撃機「爆風」誕生!

学研/2007年6月5日第1刷発行/900円/ISBN978-4-05-403495-2




空技廠は開発中の一三試艦爆が、DB601エンジンのライセンス交渉が頓挫したことから大混乱に陥っていた。
その隙に愛知航空機の設計陣は火星エンジンを搭載した一三試艦攻を売り込んだのだった。
やがてそれは高速で重装備な大型戦闘攻撃機「爆風」として採用され、数々の海戦で活躍することになる……。


本書は初期型でも最高速度573km/hと爆装最大1トンを誇る爆風の活躍を描いた4本の物語が収録されています。
第1話は開発の裏話と爆風の量産機が初めて作戦に参加したガダルカナルの戦いの回想録と終戦直前の一コマといったところ。
第2話は試作機が空母加賀に積まれてミッドウェー海戦で実戦試験に投入されるというもの。
量産機のために不具合の洗い出しをしている段階ですなぁ。
加賀から緊急発進した1機だけが飛龍へ降りて反撃に参加することになるわけで人間ドラマがあるんだが、それは読んでのお楽しみだとして。
むしろ意外な展開で幸運にも加賀が戦列に復帰してきての反撃というアツい物語となっていました。
P122に執筆時か校正時かわからないけど「だけでいい」が「だけ出でいい」となっていてがっくり。
第3話はガダルカナルにいる赤い塗装の裏切りものが乗った零戦を撃墜する任務を帯びた2人の話。
重戦闘機仕様に改造された爆風を駆って空戦していますが、今ひとつこの話はあまり興味が持てなかったかな〜。
P171に「現地部隊」であるべきところに「現時部隊」と明らかな変換ミスがあってまいったね。
第4話のほうは南太平洋海戦がテーマで、おそらく多くの架空戦記ファンが期待しているところの激闘が描かれている。
爆風も新型に換わっているし、なんといってもインパクトがあるのは一撃必殺の一六〇〇キロ爆弾の登場。
これを急降下で叩きつけるというのは爽快ですね〜。
困ったことにP191にはDTPオペレータのミスがあって、翔鶴の解説部分を加賀からコピペしたらしく、文字の訂正し忘れでそのままになっているから要目がメチャクチャです。

久々にこの著者のを買ってみたけど、以前よりもだいぶよくなっている気がする。
このまま向上心を忘れずに精進してほしいかな。
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2005年06月25日

戦艦大和欧州激闘録 鋼鉄の破壊神

銀河出版/2005年6月25日初版/857円/ISBN4-87777-074-7


戦艦大和欧州激闘録


ヒトラー率いるドイツ第三帝国が怒濤の勢いで欧州を席巻しているという設定の架空戦記です。日本は中国へ派遣していたドイツ義勇軍のスツーカの攻撃で空母加賀など3隻を失った結果、国民に反独感情が広がり、日英同盟復活へ進んでいくという展開。混乱の中の近接遭遇戦で大損害を受けた大和を、ノーフォークで大々的に改装することになった大和が凶悪な戦闘力を得て活躍していくという物語です。

お互いに相手を恐れていた日米の技術士官が協力して1隻の戦艦に強力な戦闘力を与えようという少々妙なストーリーとなっています。
その協力は仏露伊を制圧して海軍戦力が急増したドイツ海軍に対抗するためではありますが……。
航空主兵が証明されているのにそうなっているのは間違いなく作家の趣味でしょう。
その時点で大艦巨砲燃えな読者層を狙っていることが明白で、実際砲戦シーンがかなり多くあって燃えてきます。
H級やソユーズ級を相手にした砲戦なんかは、なかなか興味深いものがあるかと。

しかし、必要以上に時系列をゴチャゴチャにして飛ばしているので読みにくいったらありゃしない。
その上に、初歩的なミスを連発していてしらけてくる部分がある。
ソユーズ級の要目が40センチ連装砲4基なんてなってたり(イラストは3基だしほかのシーンではちゃんと3基と書かれていたから設定改変ではない)、第二戦艦群が壊滅しているのに第一戦艦群が壊滅なんて書かれていたり、あまりにもずさん。
作家を続けるのなら、この著者はもうちょっとだけじっくり読み返してから原稿を送るようにすべきだと思う。
それにしても、あとがきの2004年というのはマジなのだろうか?
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