2006年02月08日

欧州動乱1947 帝国の粛清

学研/2006年2月8日第1刷/850円/ISBN4-05-402984-1


欧州動乱1947


ドイツがファニーウォーで時間が過ぎていく間に、時間のかかる艦艇の建造ではなく航空艦隊の増強に励み、英海軍を空から圧倒してイギリス本土までもドイツ国防軍が制圧した世界が舞台となっているか空戦記です。
帝国はドイツ陸軍の電撃戦を理解して戦力が急激に拡大するソ連赤軍に対抗するため、赤軍への恐怖を共通して認識しているドイツ国防軍と共同で戦車を駆逐する駆逐戦闘重機械「マンムート」を開発する。
重厚な装甲と128ミリの連装砲塔を備え、ジェットエンジンで駆動するという非常識かつ膨大な支援車両が必要な対戦車戦闘専門の機械が誕生したのだった。

戦車のエンジンがジェットだとか、主砲が連装だとかいうあたりで( ゚д゚)ポカーンという感じで驚かされるトンデモ系気味の架空戦記でした。
だいたい機動力を活かしてアウトレンジから敵戦車を粉砕するならば150ミリなどの装甲は過剰だし、装甲を活かして機動力不要ならば選定されるエンジンはもっと取り扱いやすい稼働率や整備性を考慮したもののはず……という感じで、なんだかイマイチしっくりとこない設定のまま話が進んでいく感じです。
主役となるそのマンムートは終盤でようやく活躍が始まります。
1947年のクーデターで総統が暗殺され、新政権に反旗を翻すSS部隊。
同胞相撃つのは避けたいドイツ国防軍がマンムートの試験で派遣されている帝国陸軍部隊に依頼してSS部隊をわずか3両のマンムート主体の戦力で迎撃するという無茶な戦いがクライマックスです。
個人的には、なんだか内乱がテーマという感じで盛り上がりに欠けたままストーリーが完結してしまった感があります。
主役の兵器が突拍子もないものだったからそういう印象が残ったのかもしれませんけれど。
戦闘メインというモノを期待している人には向かないと思いますが、バックグラウンドなんかのストーリーに興味あるという人ならばそれなりに面白いと感じるんじゃないでしょうか。
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2005年06月01日

超・空挺砲艦「火龍」3 激突!マリアナ沖殲滅戦

コスミック出版/2005年6月1日初版発行/857円/ISBN4-7747-1078-4


超・空挺砲艦「火龍」(3)


マリアナを次の決戦海面に決めて航空要塞化を進める帝国陸海軍。乱暴なことに、実際に爆弾を爆発させての緊急補修訓練まで行なって守りを固めようとしていた。さらに、かつてないほどの厳重な護衛の元に大規模な船団を送り込み、戦力の増強を行なう。一方、火龍の大火力で重爆に大きな被害を出した米軍も、B-17を改造したガンシップを投入する(B-40ベースか?)。そしてマリアナ沖で両軍の機動部隊と陸上基地航空隊の激しい戦いが始まるのだった。

意外にも決戦のマリアナの描写は終盤の2割ほど。陽動作戦や訓練にかなりのページが割かれていて、配分がややアンバランスな気がしました。全体的にみて面白いのですが、本書のタイトル的には主役の活躍がほとんどないのが残念な気がしてなりません。結局大火力で空挺砲艦タイプが活躍したのは1巻だけという感じですからねぇ。設定は面白かっただけに少々惜しい感じがします。204Pにある「新鋭、彗星艦攻」の表現にはげんなりとさせられましたが(流星の間違いか?)、目立つマイナス点はそれぐらいで、今回もなかなか楽しませてもらえましたね。
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2005年03月03日

旭日の鉄騎兵 満蒙に吼ゆ!

学研/2005年3月3日第1刷/850円/ISBN4-05-402680-X


旭日の鉄騎兵満蒙に吼ゆ!


満州を日英米で運営していて、英米側についている日本という世界が舞台のシリーズの1950年代の話。10式中戦車T-51とドイツ軍最新鋭の128mm砲装備の駆逐戦車エレファントの戦いが描かれています。いやぁ、ほかのもあるけど、脇役というか引き立て役みたいになっているし。優秀な戦車を輸出している日独の戦いは、前巻のゴラン高原から満州に舞台が移りました。バケモノじみた戦車の陸戦が主体の作品ですが、高速徹甲弾の改良や防御面の改善といった技術面や、満州軍の描写などが多め。そのへんも面白いとは思いますが、激戦が燃えるんじゃー、という人には少々物足りなく感じるかもしれませんね。

あ、そうそう。これの初版の発行日は2005年を2004年と間違っていました。うーん、こんな校正ミスがあるなんて、出版大不況の影響で学研も進行が大変なことになっているんですかねぇ。
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2004年11月01日

超・空挺砲艦「火龍」2 強襲!クウェゼリン環礁

コスミック出版/2004年11月1日初版発行/857円/ISBN4-7747-1054-7


超・空挺砲艦「火龍」(2)


緊急出力2700馬力のハ−45を開発した中島飛行機。ここから高速・重武装の鍾馗改と火力強化型の火龍が生まれた。中部太平洋では米軍がクウェゼリン環礁に建設中の基地を火龍が繰り返し攻撃していたが、一挙に撃破するために空中給油を行なうことで鍾馗改の護衛を付け、クウェゼリンを徹底的に破壊しようとする。だが、その直前に敵機動部隊の攻撃を受けて作戦は予定と異なりつつあった。

本巻では88ミリ砲を搭載するようになった火龍の活躍が期待されるところですが、重襲撃機型の火龍にも爆弾を搭載するようになっています。敵にとっても脅威だが、乗員にとってもますます危険が増大。さらなる危険と引き替えに上げられる戦果が増えて大活躍していますが……。しかし、爆弾搭載のために空挺砲艦というイメージが弱まってしまったような気もしますね。そこがちょっと残念だったかも。
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2004年08月03日

旭日の鉄騎兵西へ

学研/2004年8月3日第1刷発行/850円/ISBN4-05-402544-7


旭日の鉄騎兵西へ


休戦という形で終わった欧州の戦いのあとも、パンテルIIに影響を受けて戦車の開発を急ぐ日本陸軍。中国内戦、東南アジアの開放戦争に義勇軍を派遣して得た戦訓から、三式をはるかに上回る一〇五ミリ砲装備の一〇式戦車が開発された。イスラエルの建国と共に中東へ派遣された一〇式戦車装備の義勇軍は、一二八ミリ砲を装備するドイツ製ティーゲルIIと戦うことになる。

ちょっと話のつながりが変ですが「旭日の鉄騎兵」の続編ですね。新兵器を義勇兵と共に送り込んでいく日本は、この世界ではしたたかな存在といえます。戦場での結果を元に商談とは……。激しい戦車戦が今回も見どころです。もしこのシリーズが続刊するのであれば、次は一二〇〜一五〇ミリクラスを搭載するようになるのでしょうね。
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2004年05月01日

超・空挺砲艦「火龍」 1.大逆転!ガダルカナル戦

コスミック出版/2004年5月1日初版発行/857円/ISBN4-7747-1035-0


超・空挺砲艦「火龍」(1)


B-17の影響を強く受けた帝国陸軍は4発の重爆撃機の開発に乗り出す。高速で戦闘機の追撃を振り切ることもできる優秀な重爆撃機。その誕生当時の状況から編隊護衛機(ガンシップ)といった種類が派生した。編隊護衛機はフィリピン攻略戦である軍曹の機転から地上攻撃に活躍。その結果、爆弾の代わりに大口径砲で地上を襲撃する空飛ぶ砲艦ともいうべき重襲撃機が開発された。

八八式75mm砲を備えた重襲撃機が活躍する本書。ガダルカナル島への攻撃から敵艦隊への火力制圧攻撃まで行ない、多大な損害を出しつつも大きな戦果を上げる空挺砲艦部隊の活躍が描かれている。ご都合主義的な部分もあったりするけど、まあ、このジャンルの作家の平均レベルよりは上でしょう。設定が設定だけに、個人的には多少の変な部分は許せる感じかな。

貧乏性のためにあれもこれもと多機能さを求めてコストが高くなっている火龍ですが、2巻以降でそれがどのように影響してくるのかが気になるところです。また、搭載する火砲がどこまで強化されていくのかも見どころかもしれませんね。
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2004年02月07日

旭日の鉄騎兵

学研/2004年2月7日第1刷/850円/ISBN4-05-402369-X


旭日の鉄騎兵


密約で満州を日米英で共同統治している世界が舞台。満州の工業は米英の資本の参加もあって急速に発展。日本陸軍はノモンハンで九七式中戦車が壊滅したことから、満州での戦車開発に乗り出した。世界水準の一〇〇式中戦車の開発に成功し、戦車の輸出を考えるが戦争中の欧州の開発ペースの前にはすぐに陳腐化してしまう。そこで重量四二トン、前面装甲八〇ミリ、砲塔前面一二〇ミリの三式中戦車を急いで開発。戦車不足に悩むイギリスへ輸出することになった。乗員の派遣も求めるイギリスに、戦訓を得るために同意した日本陸軍は義勇軍を編成して派遣し、ドイツの虎や豹と戦うことになる。

この著者の1997年発行の「大反撃一式砲戦車隊」では舞台設定を大きく変えずにやっていたが故に日本軍に重戦車を登場させることができずに心残りがあったのか、本書は工業力のアップした満州で強力な戦車が登場しています。戦う相手はソ連と戦わずに協力関係を維持しているドイツ軍。ティーゲルやパンテルを装備しているだけでなく、T-34を輸入していたりして、強大な戦力を持っています。Me262を量産していて制空権もドイツ側が持っているという不利な中での戦いが熱いですね。陸戦ものの架空戦記ではまずまずの良書ではないかと思います。
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2003年09月25日

零戦の勇士 新たなる大戦

KKベストセラーズ/2003年9月25日初版発行/895円/ISBN4-584-17936-0


零戦の勇士新たなる大戦


おそらく『蒼空の光芒』と同じ世界が舞台。地上からわずか200キロのところに出現した新しい月のためにドイツを中心にロケット技術が異様に進んでいるという世界です。戦意高揚のために東宝映画が坂井三郎を主人公に宣伝映画を制作。国民的人気となった彼を戦死させるわけにはいかぬと、実験航空隊に配属した海軍。だがそのために陸海軍共通の次期戦闘機の選定をめぐる騒動の渦中へ放り込まれることに……。その騒動の結果、海軍組織の手に余ると判断され、新設の実験飛行隊へ送り込まれるというもの。そこは富嶽を母機として、超音速ロケット機の研究を行なう部隊であり、世界初の宇宙空間への到達とマッハ7という速度記録を達成することになります。その記録の達成に至るまでが綴られている技術的な方面がメインの本書。架空戦記とは少々趣が異なるかもしれません。主な戦闘描写は、戦略上、大至急どうしても超音速迎撃機が必要となった陸軍が研究機をベースに迎撃機震電を開発し、終盤で戦闘をするぐらいか? 読み手を選びそうです。個人的には結構面白いと思いますが。
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2002年07月20日

蒼空の光芒

KKベストセラーズ/2002年7月20日初版発行/848円/ISBN4-584-17916-6


蒼空の光芒


彗星が地球の重力に捕まって、わずか200キロの距離にできた新しい月。これを目標にロケット技術は急速に発展していった。そして、英国上陸作戦に大量投入されたA4は戦局に大きく影響を与える。その残骸を回収した日本海軍はその技術を我が手にするために努力していく。その成果は不要となりつつあった戦艦山城を甦らせることになった。三番、四番、六番砲塔を撤去し、大型のクレーンが艦尾に取り付けられる大改装で、山城は世界初のVLS(Vertical Launching System)での弾道弾搭載戦艦として生まれ変わる。艦中央部にはA4を参考にした呂号を装備し、艦尾に艦載する九七式飛行艇で呂号誘導するという精密攻撃が可能とされていた。

命中率の低さには大量発射でいくべきところを、命中精度の向上による一撃必殺に持っていこうとするあたりが海軍らしいですね。射程は300キロ、どんな艦でも命中すれば一撃で轟沈というのは魅力でしょうが、改装した山城には搭載数12基。コストパフォーマンス悪すぎですね。専用艦を新造したほうが改装よりも安そうです(笑)。リスクを負ってまで戦艦を改装する必要性はないと思うんだけどなぁ……。かろうじて搭載している飛行艇も、予備機なさそうだし。で、もう残りページが少なくなってきたところでの初陣は、地味な電探破壊と意外。その後、キングジョージ五世とプリンスオブウェールズとの戦いがありますが、主にロケット開発という視点がメインです。
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1997年08月05日

大反撃一式砲戦車隊

飛天出版/1997年8月5日初版/800円/ISBN4-89440-075-8


サイパン機動防御戦


九七式中戦車の車体に八八ミリ砲を搭載したチホ車は試作中にノモンハンへ送られ、わずか一両で大活躍。だが、正式採用は見送られ九七式中戦車の量産が進められた。チホ車を諦めない人たちは急速改造の訓練をし、いざというときに備えることにする。やがて、サイパンへアメリカ軍が攻め寄せてきたときにその成果がいかされ、九七式中戦車を一式砲戦車へ改造してサイパン防衛で活躍する。

この著者の初めての作品かな? センチとミリを混在させちゃっているから、80ミリのところを80センチなどと派手に間違えてたりして少々稚拙なところもあります。でも、それなりにモノを調べているし将来に好感触。そんなに大量の改造を短期間じゃできないよとか、日本海軍の護衛で輸送がそんなにうまくいくのは夢のようだとかいうのもあるわけですが、結構楽しめました。本書での経験がのちの「旭日の鉄騎兵」へいかされていったのでしょう。

※『サイパン機動防御戦』はこの『大反撃一式砲戦車隊』改題書です。
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