2000年08月04日

旭日の戦旗1

学研/2000年8月4日第1刷/800円/ISBN4-05-401188-8


旭日の戦旗(1)


前シリーズと少しばかり設定が近い感じで、日本、満州合衆国、朝鮮連邦の極東連合が(同盟ではないものの)親英的立場で、特に日本は日英共同経営の油田を中東に持っているという舞台設定。親英的なれど孤立主義のアメリカというのが前作とは大きく違っている。対する相手は同盟を結んでいる独ソ。さらにフランスも枢軸に加わっていく流れで、枢軸の支配する欧州と、極東の3国、アメリカという3極状態がポイント。石油をめぐる支配権で中東に火種がある。

ダンケルクの撤退に失敗し、ビスマルクとティルピッツを主力とするドイツ海軍が艦隊決戦を挑んで来たためにネルソンやフッドなどを撃沈されて多くの戦力を失ったイギリスは、本土をドイツに占領されてしまう。完全にヨーロッパを手にしたドイツが主敵となるわけですね。でも、占領直前の邦人の引き上げを護衛する艦隊は錯誤からUボートに扶桑を撃沈され、イタリア空軍の爆撃で電が至近弾を受けて損害を被るなど、なにやらいきなり伏線っぽいものが……。

シリーズのオープニングでどこまでやるのかと思えばソ連の対日宣戦布告で空襲を仕掛けてきて、加賀と伊勢を撃破するなど、そこそこ戦力を削られている日本海軍に一抹の不安を感じてしまうことでしょう。まあ、そうはいっても海軍力で見ればそれぐらい失っても戦力バランスは日英有利なわけですが、戦場が中東となると微妙な感じですね。中東での戦いでは艦艇はあまり活躍の場はないでしょうし。まあ、1巻目としては無難にまとまっている感じの出来かな。
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2000年03月09日

旭日旗、征く!12

学研/2000年3月9日第1刷/760円/ISBN4-05-401036-9


旭日旗、征く!(12)


大連合の反撃でまいりつつあるフランスは単独講和を検討し始める。フランスの脱落を防ぐために大西洋と太平洋で米軍が反撃に出る。だが、大連合も全力をあげて反撃を試みるシリーズ最終巻のクライマックス!

大西洋の大連合A部隊と英本国艦隊が活躍しそうに思える展開で、意表をついてA部隊だけで迎撃しなければならなくなるという展開が意外な感じでした。そうそううまくはいかないということですね。とはいえ、相変わらず戦術レベルで大連合が追いつめられるところから奮戦するというお馴染みの展開に対して、戦略的にサボっているNATOというか主に米軍というちぐはぐなストーリーがいまいち。大連合が新造艦をどしどし登場させてくるのにNATO側はいまいち出てこないし。それと、大連合側の水雷戦隊が大活躍するのはいつもの通りなんですが、さすがにこの巻数になるとお約束を通り越してまたそのパターンかと感じてしまうわけで。パターン的なのが多すぎて、失礼ながら作家の力量を超えて長編にしすぎたんじゃないかと思っていまいました。思いのほかに売れたのかなぁ、確かに面白かったけど。

最終決戦はやはり太平洋に設定されていましたが、シリーズのお約束である大和級が撃たれ弱いというのが健在で「大和」があっさり撃沈されてしまいます。格下に負けてやられっぱなしな大和級なんていうのは本作ぐらいじゃないでしょうかねぇ。切り札的な感じで登場した紀伊級戦艦や艦上ジェット戦闘機なんかもおまけ的でさほど記述なしに終わっているのが惜しい。12巻まで続き、面白かったから当然ありだと思うものの、伏線っぽく用意していたっぽい部分が登場せずに消えていったのが残念かも。もったいぶっていた艦上ジェット戦闘機とか紀伊級戦艦って、なんだかだいなしという気がしてなりません。
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1999年02月04日

旭日旗、征く!9

学研/1999年2月4日第1刷/760円/ISBN4-05-401033-4



バルト海にソ連艦隊を封じ込めるために艦隊を派遣し、戦略爆撃など航空戦力で反撃に出る大連合。数百機単位での同時複数拠点攻撃でNATOとソ連に揺さぶりを掛ける。さらに6発のJu490でアメリカ東海岸を爆撃し、米大西洋艦隊のNATO支援を遅らせるべく犠牲の大きな作戦を開始した。一方、米ソも千島方面で合同艦隊による反撃を試みる。

シリーズ9巻目とずいぶん続いてきている本作は、ソ連が激弱になっているようですね。戦えば戦うほどに損害を出して負けていっている気がする……。NATOの足を引っぱるお荷物となり果てています。ドイツ正面の西部戦線なんかは圧倒的物量で攻勢をかけそうなものなんですが。さんざんNATOをかき回したあげく、大連合と単独講和してしまうあたりがなんともそれらしいという感じで、あるある、あるよー、とか思ってしまいました。

また、この世界では国民戦闘機He162が1949年なのにまだ開発途上という不思議な展開となっています。He152なんて間違っている部分もあるし、せっかく登場したのに迎撃一回出てくるのみ。大量配備して迎撃戦で活躍するにはこういったコスト的に優れた機体が望ましいわけで、防空の切り札として出てくるのかと予想したんですが登場は1シーンだけ。次巻以降からの活躍なんでしょうかね。
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1998年11月09日

旭日旗、征く!8

学研/1998年11月9日第1刷/760円/ISBN4-05-400831-3


旭日旗、征く!(8)


アメリカの大西洋艦隊の戦力を削るためにキエブラヴィークを出撃した大連合A部隊はポーツマスを空襲し、ニューヨーク沖で決戦を挑む。だが海戦には敗北し、逆に大きな損害を受けてしまった。ソ連はドイツだけでなくフィンランドへも侵攻を開始。大連合はフィンランドを支援してソ連の戦力を分散させようと試みる。だがソ連は海上機動で樺太の前線の背後に上陸を行ない攻勢に出た。

挟撃しようとして各個撃破されるお間抜けな大連合A部隊の敗北シーンがメインです。今回も主役は酸素魚雷を武器に戦う水雷戦隊ってのがこのシリーズに多くて少々パターン化してきていますが、水雷戦隊が戦艦を撃破していくのは痛快。対ソ戦が激しくなっていくのは次巻への伏線でしょう。大連合がNATOと同時にソ連を相手にすることが難しい以上、ソ連退場へ向かっていくのが予想できる展開ですからね。個人的には冒頭のイタリア空軍が領空侵犯するフランス軍機に警告で急接近・離脱していくシーンがうまい演出だと感じました。火事で樺太に迫るソ連艦隊を知らせるというほうも印象には残るが演出的にはかなり疑問符つき。哨戒に出ている東海が火事を見てその後に発見しているんだけど、それよりも先にレーダーで見つけられるんじゃないのかと……。夜間の哨戒でレーダーを未使用なんてあり得ないと思うんだよね。かなりおかしな部分でした。
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1998年07月06日

旭日旗、征く!7

学研/1998年7月6日第1刷/760円/ISBN4-05-400830-5


旭日旗、征く!(7)


北千島と南樺太へ進行してきたソ連軍。特に最前線の占守島では敵を内陸に誘い込み、相手にあと少しで制圧できると思わせながら多大な出血を強いていた。アメリカからソ連に貸与された艦隊を誘導弾で撃沈したが、ソ連海軍も潜水艦で機雷を敷設し東亜三国の補給路を脅かす。一方、ヨーロッパでは地中海の制海権をめぐってマルタ島を中心に激しい航空戦が行なわれ、地中海に入ったZ部隊がフランスとスペインの艦隊を撃破し、地中海の制海権を確保してジブラルタルの救援を目指そうとしていた。

この世界では一九四八年に初めて航空機による戦艦の撃沈に成功するということになりました。艦隊防空よりも航空側の技術が勝って誘導爆弾による攻撃が結果を出しています。ただ、まだ誘導システムが連山改などの大型機用のため、しばらくは航空側優勢となるのは空軍のみなのかという感じ。空母の搭乗員はまだまだ消耗が続きそうなんだけど、補充はどうなっているんだろうというぐらい素早く戦力回復しているのがご都合主義的かな。本書の山場は大連合が地中海の艦艇のほとんどを使って敵艦隊の撃破とトゥーロンの破壊を目論むところ。格下の戦艦を相手に武蔵が沈没寸前にまでやられるのは、このシリーズで不思議と撃たれ弱い大和級戦艦の宿命なのか!?
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1998年04月11日

旭日旗、征く!6

学研/1998年4月11日第1刷/760円/ISBN4-05-400829-1


旭日旗、征く!(6)


マラッカ海峡を確保して東亜三国と大英帝国の連絡路が確保された前巻の展開。想定外の展開にNATOが自陣営にソ連を引き込もうというのが6巻の見所です。同盟国へ艦艇の供与をしまくっている米国。このペースで提供していてはいくら生産しても時刻の戦力アップに繋がりにくいわけで、ソ連への艦艇援供与を陽動に択捉島を奇襲することを画策します。一見うまくいくかと思えた作戦も、ソ連参戦を警戒していた東亜三国の兵力配置で停滞しっぺ返しを受けるという感じで話が進んでいくのでした。

さすがに伏線が張られている長編の6巻目ともなると、そろそろどこが動き出すんじゃないかという予想ができてしまうわけです。
前巻までに何度も記述されていた、既に対ソ戦を覚悟して準備をしている大連合が、うまく対処できるかというところが見所かと思ったんですけど。
意外に先送りなのか、本格的な戦闘はないままに6巻が終了している感じですね。
開戦となるのは予想された展開ではありますが。
内容が薄いというわけでもないんですが、読者側で読んでいて推測できる展開の予想内で終わっていて、意外性がないという感じでしょうか?
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1997年12月24日

旭日旗、征く!5

学研/1997年12月24日第1刷/760円/ISBN4-05-400828-3


旭日旗、征く!(5)


NATOに押さえられているマラッカ海峡の制海権を確保すべき進撃する大連合の日英混成のZ部隊は、オランダ海軍の機動部隊と交戦する。オーストラリア・ニュージーランドの機動部隊の支援のもとにマラッカ海峡の支配権をめぐって激しい戦いが行なわれるのだった。


仏印から発進して昆明を空襲したB-29の前に出現する試作機キ94IIが活躍しているのがいい味を出していますね。キ94の開発目的を考えれば……ねぇ。海戦のほうは艦載機の消耗率の高さから、武蔵とプリンスオブウェールズが大活躍していて、本巻もやはり最終的には砲撃戦でケリがつきます。双方がVT信管を使い、レーダー誘導で効率的に迎撃しているわけで、艦隊防空の発展が航空機優勢の時代を過去のものにしているというのが興味深いシリーズかもしれません。大連合は改・大和型を6隻同時に建造し始めるから大艦巨砲主義へ戻っていくのか、それとも何かユニークな戦術が登場するしてくることになるんでしょうか?
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1997年09月05日

旭日旗、征く!4

学研/1997年9月5日第1刷/760円/ISBN4-05-400827-5


旭日旗、征く!(4)


日米ともに戦力再編で有力な艦隊が活動していない頃、米海軍は第9駆逐隊で対潜掃討作戦を行なっていた。そのような状況下、密かに再編した日本海軍第一機動部隊が沖ノ鳥島付近まで出撃し、第9駆逐隊を撃破する。同時に仏印でも反撃に出た大連合は複雑に連携した作戦でNATOを翻弄するのだった。機動部隊艦載機を待ち受けて大半を殲滅、機動部隊も空軍の攻撃で追い払い、大連合の通商路を堅く守ることに成功する。

工業製品が統一されている大連合各国のメリットが出てきて、実質的に生産・補給効率はNATOより勝る感じのイメージを受ける大連合の反撃がはじまりました。明確な目的を持った陽動作戦できっちりと戦果を上げていく大連合のしたたかさが見所ではないでしょうか。もったいぶって登場させているのに意表をついて囮(?)の第一機動部隊が少々切ないかもしれません。戦力を引き抜かれまくっているからしょうがないのかな……。巻末ではいよいよジブラルタルでもなにやらひと騒動ありそうな感じになっていて、まさに世界大戦という広がりを見せているのがうまい。でもねぇ、まだこれの編集はDTPじゃないと思うからありがちなのだけど、誤植が目立っているのが少々残念です。
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1997年06月05日

旭日旗、征く!3

学研/1997年6月5日第1刷/760円/ISBN4-05-400722-8


旭日旗、征く!(3)


アジアでの戦局悪化をヨーロッパで取り戻すべくNATO諸国が本格的に参戦。マルタとジブラルタルをめぐって激しい戦いが繰り広げられるという巻です。仏印インドシナへ陸軍主体で攻め込もうという大連合やジブラルタルへの補給線をめぐっての攻防がメインといったところ。そう、ヨーロッパ方面でも大連合が本格的に戦い始める3巻目。空襲下で火事場泥棒をしようとする軍の不届き者たちを取り締まる警務隊の活躍があったりするのが非常に珍しいと思います。それに結構ページを割いているのは少々バランス的にいきすぎの感もありますが……。メインはジブラルタルへの補給を試みる大連合とNATOの戦いで、天候の悪戯で唯一有利な航空優勢を活かせない大連合が敗退するさまが描かれていて、ハラハラドキドキといったところでしょうか。あの手この手を駆使して正面対決を避けている大連合の戦略が、おそらく気になるのではないかと思われます。どこで勝負に出るんでしょうね?
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1997年03月08日

旭日旗、征く!2

学研/1997年3月8日第1刷/780円/ISBN4-05-400721-X



東亜三国と大英帝国の大連合は、太平洋で反撃に出た。グアム空襲を手始めに第二機動部隊でハルゼー率いる第十七任務部隊と交戦。母艦戦から戦艦での砲撃戦までもつれこんだが戦術的勝利を収める。その陰でウェーク島の占領と南シナ海の対潜掃討が進められていた。補給線の確保に成功しつつある大連合へNATO側もついにヨーロッパ・地中海方面で戦闘を開始するのだった。

双方ともにVT信管の対空砲弾で防空能力が高いのがこのシリーズの注目すべき点でしょうね。艦載機は一度の攻撃でかなりの戦力を消耗してしまうという悩ましい状況のようです。そんな中で対艦誘導弾を日本海軍が投入するものの、機密優先で少数が使われるだけという変な展開で唖然とさせられることでしょう。戦力差が絶望的な状況だから、出し惜しみなんかありえないようなはずなのに。海軍上層部の無能さの演出っぽいけど、前大戦や西太平洋戦争で人事は適材適所になったんじゃなかったの? なんだか一貫性のない設定に多少の不満を覚えてしまいます。連装が速装になっていたり、フランスがフランフになっているなど誤字が目立っているのも少々厳しいかもしれません。本巻は大連合の反撃に終始しているわけですが、次巻はNATO側の巻き返しがあることが容易に予想できます。なかなかいい感じでバランスがとれているんじゃないでしょうかね。結構面白いんじゃないかと思います。
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1997年01月04日

旭日旗、征く!1

学研/1997年1月4日第1刷/780円/ISBN4-05-400720-1



日中韓が東亜三国同盟を結び、大英帝国とも同盟を結んでいる世界が舞台。昭和十年に日米は激突し、連合艦隊は大損害を受けて敗退する。大英帝国が本国艦隊を東海岸へ進出させ、恫喝による休戦で日本は助かるが、戦艦の建造に大きな制約が課せられた。
第二次世界大戦は米ソが中立を守ったことから、独伊中心の枢軸と日英同盟の対決となっていた。第二次世界大戦は日英側の勝利に終わるが、カタパルト作戦などで仏海軍を攻撃したことが戦後に影響し、アメリカと西ヨーロッパでNATOが成立。ヨーロッパではイギリスは孤立することになった。
そして、第二次世界大戦で独立した植民地をNATO各国が再占領に向かい、彼らは東亜三国と大英帝国を相手に戦いが始めるのだった。昭和二十一年十二月二十七日、アメリカの南鳥島と台湾への攻撃から第三次世界大戦へ突入した。

日英同盟で電探や航空機エンジンなどにだいぶ変化があるあたりが興味深い設定。日本空軍には震電や疾風などが配備されているし、海上護衛総隊には回転翼機搭載の護衛空母までいます。ずいぶんと変わっていますよね。戦いのほうはというと、なによりも初戦から連携が違います。イギリス東洋艦隊に連合艦隊から重巡2隻、駆逐艦3隻が合流して出撃です。フランス艦隊はオランダ海軍とは挟撃しようとするのみで別行動。戦力的には不利なのに、長年の同盟関係がある第二次世界大戦で多くの戦訓を得ている日英側のほうが戦術的勝利を収めて第一ラウンド終了。シンガポールが空襲されていて重油タンクとドックに大被害があり、とうぶんは東洋艦隊は戦力外でひとまず痛み分けという感じで終了。まだ日米の主力が激突していないので次巻は激しい戦闘が待ち受けていそうですよね。おそらく、かなりの長編となることでしょう。
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