2008年09月01日

超機動空母「潜龍」1第零航空戦隊出撃せよ!

コスミック出版/2008年9月1日初版発行/895円/ISBN978-4-7747-1139-3




極秘に建造していた潜水空母「潜龍」が活躍する新シリーズ。
大和級戦艦と翔鶴級空母を建造せずに、潜水艦1隻を建造したという驚愕の設定だ。
すなわち、搭載機288機、全長600m幅70mの超大型潜水空母が主役となるぶっとびの設定が魅力の作品といえるかな。
潜水艦であるため機動力がないわけで、タイトルの「超機動空母」というのには大いに疑問を感じてしまう。

訓練や作品舞台の説明で前半が終わってしまっているので、一刻も早くどのような戦い方をするのか知りたい人には不満を感じるところかもしれない。
初陣はハワイ奇襲とお約束のパターンで始まっている。
通常の空母機動部隊ならば艦隊の秘匿性の問題で開戦直後に攻撃せざるを得ないのはわかるんだけれど。
潜水可能な潜龍ならば状況を探りながら開戦数日後の相手が警戒を解いたあたりでの奇襲や、空母が停泊中の時を狙っての攻撃だって可能だろうに、著者がそのような柔軟性をもっていないようだ。
いつものようにお約束で、開戦時間厳守で外務省のアホのせいで無用な敵愾心を生む展開となっていた。

奇襲が成功したあとは訓練に明け暮れてミッドウェー作戦となる。
翔鶴級が存在しない世界なので、MO作戦は蒼龍と飛龍で行ない、被害のためにミッドウェーへは赤城と加賀しか参加しないということになってしまう。

うーん、隠密性と打撃力を考えたら、ハワイ作戦が終わったら、正体がばれて戦力価値が落ちる前にパナマ運河攻撃で経済的・戦力配置の柔軟性に打撃を与えるとか、西海岸の工業地帯を空襲するのが自然な感じがするんだが……。
そういう性格の艦が主役なんだし。

でも、なぜか史実に近い流れにしたがることが多い著者の癖が今回も出てしまっている感じですね。
赤城と加賀はミッドウェー海戦で喪失したみたいだし、まともな空母戦力が少ない設定のこの作品はどこへ向かうのだろうか?
主役となる艦の性格的に活躍の場がかなり限られそうだから、妄想爆発展開の駄作となるか、うまく設定を活かせずに迷走しそうな予感がしてしまう。
そんなわけなので、2巻目でどういう展開を迎えるのか非常に気になる感じかな。
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2008年04月25日

双胴空母「瑞翔」出撃す!3

実業之日本社/2008年4月25日初版発行/857円/ISBN978-4-408-60490-9



シリーズの最終巻となる本書は、ホーランジアとマリアナでの戦いが描かれている。
敵の反攻ルートを絞り込むためにニューギニアか中部太平洋のどちらかを完膚無きまで叩きのめそうという戦略が機動部隊から提唱される。
罠をしかけてホーランジアに誘引し、敵を殲滅するというのが前半の山場だろう。
瑞翔とそれを護衛する金剛級4隻と重巡部隊だけで出撃し、24ノットで進撃していくのは驚き。
艦載機でサウスダコタとワシントンを大破させ、戦艦と重巡が突入して輸送船団を片っ端から撃滅する。

その後、後半はいよいよ最終決戦へむけての準備が進められる話が綴られる。
マリアナの戦いは新鋭空母大鳳が加わって、10隻の空母で迎え撃つ展開だ。
F6Fに対抗するために用意した零戦は350機とかなりの数。
どういった戦いが行なわれるのかと思えば、距離を取って守りに徹し、F6Fの燃料切れを狙っていくというものだった。
戦闘機の数を大幅に減らしたらもう勝負は一方的ですな。
艦載機で攻撃して水上部隊の突入という流れで、シリーズの最後まで容赦なく攻撃していた。
戦闘シーンの描写がもう少しほしい気はするが、かなり楽しめる作品だったかな。
次回作にも期待。
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2007年11月10日

双胴空母「瑞翔」出撃す!2

実業之日本社/2007年11月10日初版発行/857円/ISBN978-4-408-60465-7




ウェーク沖で活躍した機動部隊は、南方作戦とインド洋作戦に駆り出されてしまう。
満足に搭乗員の補充を受けられないことを知る塚原司令官は無理な攻撃はさせず、被害を抑えるために数で圧倒したり、地上攻撃には急降下爆撃を行なわないようにしたり工夫をしていた。
だが、積極的ではないと思われたことと、MO作戦で下級司令部に口を出しすぎて罷免されそうになる。
そんな中で名誉挽回の機会となるミッドウェー海戦に参加することになるのだった。


今回はこの著者にしては珍しい展開を見せてくれていたかな。
いつもなら被害を抑えながら戦い、活躍した司令官が敢闘精神不足で左遷させられてボロボロになってから戻ってくるパターンですが、本作はその前に機動部隊が戦うべき本命の相手である敵機動部隊と海戦を行なって勝利を収めているという展開。
ミッドウェーで飛龍を失い、翔鶴も大破して双胴形態を解除することになったものの、塚原は機動部隊の司令官のままガダルカナルの戦いへと進んでいく。
機動部隊同士の戦いもさることながら、奪回作戦に戦艦大和が参加しているなど、ずいぶん奮発したストーリーで結構楽しめた。
最小限の損害で広大な範囲を確保した帝国海軍がどこへ向かうのか次巻が非常に楽しみだ。
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2007年07月10日

双胴空母「瑞翔」出撃す!

実業之日本社/2007年7月10日初版発行/857円/ISBN978-4-408-60441-1




建造中の空母「翔鶴」と「瑞鶴」を連結し、双胴空母にしようと画策する塚原二四三少将。
連結して艦の後部飛行甲板の幅を広げることで、着艦が楽になり空母搭乗員に必要とされる技量の引き下げを狙うのだった。
機動性の低下による防御力への疑問については、飛行甲板を3段式にして、上甲板を戦闘機、中甲板を爆撃機、下甲板を攻撃機用にして常時戦闘機を発進させられることで防ごうと狙う。
いざというときには分離して2隻に分かれられるような設計となった「瑞翔」は、開戦直後にハワイから米海軍主力を誘い出し撃滅する任務に就くことになるのだった。


いつもながら1巻目は面白そうな設定でついつい購入させられてしまった新シリーズです。
搭乗員の練度の問題を飛行甲板を広くすることで敷居を下げてくるという設定がユニークで面白いですよね。
問題はこの先のストーリー展開にもちゃんとオリジナリティがあるのかどうか。
またもやこの著者特有の型にはまった展開となってしまうのでしょうか?
ストーリー構成に自信がないのか、いつものように史実にあわせるかのような強引な展開で辻褄を合わせて史実の展開に近づけていってしまうわけで。
そのような展開が今回も待っているのか気になるところです。

まあ、塚原が一航艦、南雲が第十一航空艦隊を率いることになっているのは期待できそうだけどねぇ。
また今回もパターン化されているオチだといい加減ツラいかな〜。
撃墜された搭乗員の救出を重視していたり、部隊の練度が低下した場合のことを考慮した戦術の変更なんかは次巻以降の伏線だと思うので期待できそうなんですけど。
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2007年01月07日

韋駄天艦隊3

実業之日本社/2007年1月7日初版発行/857円/ISBN4-408-60409-7




最新鋭の蔵王級巡洋戦艦を3隻喪失し、優勢な状態からいきなり不利な現実を突きつけられた帝國海軍。
小沢提督率いる主力部隊はアウトレンジ戦法で一方的に敵を叩こうと画策するが、米海軍が最新鋭の巡洋戦艦を投入してきて計画は頓挫。
マキンとタラワを喪失する失態をみせてしまった。
小沢提督を更迭するよう意見が出る中、山本五十六長官は現状維持のまま組織の運用を進めるのだが……。
マーシャル防衛戦では航空艦隊の攻撃で敵艦隊に多大なダメージを与えたのに追撃をしない小沢提督に失望していた連合艦隊司令部。
米軍の再攻時には敵が艦載機をすべて最新鋭戦闘機にして全力で迎撃してきたために艦載機が壊滅して、作戦が崩壊し敗退してしまうのだった。
追い詰められた日本帝國海軍はフィリピン防衛に全力をあげようとするのだが……。

前巻まででそこそこのページ数を割いていた近接戦闘のライオン戦法は登場しないで物語の終結へと向かってしまう。
伏線でもなんでもないものにあんなにページを割いていたのかと思うと、著者のストーリー構成力にかなり疑問を感じてしまった。
アウトレンジで敗退して中部太平洋を奪われるという展開は、巡洋戦艦と機動部隊を置き換えればマリアナ海戦そのもので、いつものことながら当たり外れが大きくて、外れた場合にはホントこの作家にはオリジナリティが感じられないと思う。
まさに前巻を読んだときの予想通りで、「やっぱりこういう展開か〜」と脱力感を感じてしまったね。
それにしても校正がずさん。
P156なんか「第一艦隊はも古村参謀長と……」とかなっていてすでに日本語じゃないし。
斜陽ジャンルだからといって手抜きするなよ!>編集者
最後は沖縄特攻と、これまた予想通りのストーリー展開で半ばあきれてしまうわけですが。
前巻の書評同様、この作家の過去作品を読んだことがないならば、本書も平均と比べれば面白いほうだからいいと思う。
作品のストーリー展開がパターン化しているのは今後改善されるんですかねぇ。
さすがにもうそろそろ購入意欲が尽きかけています。
orz
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2006年07月31日

韋駄天艦隊2

実業之日本社/2006年7月31日初版発行/857円/ISBN4-408-60391-0




前巻で米太平洋艦隊と中途半端に戦っただけの帝國海軍の主力部隊は高速で南方へと移動していた。
世界の常識を打ち破る高速機動で英東洋艦隊を撃滅する帝國海軍。
だが、艦隊司令部には慢心がはびこりつつあった……。
そんな中で奇抜な戦術を試行錯誤する第二戦隊の山口司令部。
実戦で試しはしたものの、軍令部の迷走で無駄な作戦を実行したり、米海軍に本土(釜石)への艦砲射撃を許してしまうのだった。
そして、パターン化した作戦でパルミラを攻撃して、最新鋭の蔵王級巡洋戦艦3隻を含む5隻の大損害を受け、連合艦隊は致命的な危機を迎える……。


架空戦記でありがちな展開である、軍令部と南雲司令部を無能扱いにして主役を目立たせようとするパターンの作品です。
軍人の本分を尽くすとか言う割には、上位司令部に抗議はしていないんで、それは本分を尽くしていないだろうとか突っ込みどころはそれなりにある感じ。

よくわからないのは、帝國海軍の最新鋭巡洋戦艦を一気に壊滅させていることか?
南雲司令部の無能さを目立たせる演出なのかもしれないが、あまりにも戦力バランスを一気に傾けすぎなんじゃないの?
戦力の逐次投入となる艦隊機動を行なうなんて……って、まぁ、あり得なくもないというより、やりそうな可能性のほうが高いわけだけどさぁ〜。
結果が明白な次巻はもうどうでもいいや、とか思った人も少なくないんじゃないのかなぁ?
なんかこの著者のこれまでの作品からして、史実的な展開に近寄せないとその先のストーリーを独創的に作れないからつじつま合わせをしているんじゃないかという感じがする。
今回のはいわゆるミッドウェーに当たるわけですね。
自分は「またこういう展開なのかよ〜」とか思ってしまった。

記述的に気になったのは、P141の「〜どんだご無礼を」かなぁ?
これって方言みたいなものなんでしょうか?
そのあたりに住んでいる知り合いがいないから、誤字なのか方言の演出なのかわからなかったッス。
明らかな誤字はP158の「多様(多用の間違い)」とかあるんだけどね。

話的には面白いんで設定とかが気になった人は読んでもそれなりに楽しめると思う。
ただ、この著者の作品を過去にだいぶ読んでいる人にとっては、ある程度先が読める展開となるので物足りなさを感じるんじゃないかな?
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2006年02月05日

韋駄天艦隊

実業之日本社/2006年2月5日初版発行/857円/ISBN4-408-60356-2


韋駄天艦隊


ジュットランド海戦で速度を武器にした英巡洋戦艦部隊が勝利の栄光をつかんだ世界が舞台です。
それ以降、各国は主力艦を巡洋戦艦に置き換え、低速の戦艦は保持していないという驚くべき設定。
各国の主力艦は35ノットクラスであり、水雷戦隊も襲撃が困難で航空攻撃も成功が難しいと判断されていたりします。
そのために航空機の開発はどこの国も停滞していて、ボーイング、ロッキード、グラマンが倒産しているというのも凄すぎ……。

そんなわけでなかなかにユニークな世界観で進んでいくのですが、北海の戦いでドイツの最新鋭巡洋戦艦が水平防御の不足から爆沈して巡洋戦艦の脆さが突如として露呈し、各国海軍にパニックが起こっているという中で日米開戦となるというあたりが、なかなか興味深いストーリーでしょうか。
最新鋭の帝国海軍の巡洋戦艦「蔵王級」は40cm連装砲4基を装備しながらも38ノットも発揮するわけで、水雷で襲撃を成功させるには困難なレベル。
帝国海軍ですら水雷戦は重視していなくて、酸素魚雷の開発ができていません。

設定的にはかなり帝国海軍に不利なような気がするんだけど、今後どういった展開に話を持っていくんだろうと次巻以降に興味津々だったりします。
艦艇の温存を優先して戦果の拡大を拒否している時点で次巻ではやばい展開が待っていそうでドキドキものかも?
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2003年12月25日

派遣艦隊出撃せよ3 戦いの向こう

KKベストセラーズ/2003年12月25日初版発行/886円/ISBN4-584-17938-7


派遣艦隊出撃せよ(3)


存在するはずのないトマホークで攻撃を受けた護衛艦くらま。少なくとも同時代からの米海軍の援軍が到着したことを理解するには十分な警告だったが、それを理解しても、もう戦力が半減していてあとには引けない状態の派遣艦隊。いくら活躍しても補給を受けられない以上どうにもならないわけで、とうとう沖縄での決戦にまで追い込まれていくのだった。

沖縄へ殴り込むにしても燃料・戦力的にずいぶんマシになっている帝国海軍ですが、結局は生産力の差にはかないません。イギリス海軍の空母は防御力が圧倒的だし、戦術的には勝利しても押され続けて敗北していくというつらいシーンが描かれています。ついには派遣艦隊はくらまだけとなり、恐れていた燃料不足まできて、動けなくなってしまうわけで。極限状態に追い込まれた男たちの戦いが描かれているというわけですね。援軍の演出がいまいちっぽい印象だし、シリーズの出来の判断はちょっとばかり難しそうですが。
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2003年08月25日

派遣艦隊出撃せよ2 迫りくる試練

KKベストセラーズ/2003年8月25日初版発行/886円/ISBN4-584-17933-6


派遣艦隊出撃せよ(2)


マリアナ沖でかろうじて勝利した帝国海軍と派遣艦隊。双方ともに戦力の再建が必要となり、派遣艦隊は船団護衛に従事することになった。その対潜能力からフィリピン・ピートとして米海軍の潜水艦乗りに恐れられるまでになった護衛艦が、無事に船団護衛を行ない資源を大量に輸送するあたりがまたストーリーに影響してきそうな感じです。ミサイルを護衛艦からではなく、一式陸攻や銀河から発射するという作戦を立てた派遣艦隊は、とうとうフィリピンへ侵攻してきた米海軍と決戦を行なうことになるのだった。

わずか2隻の護衛艦と1隻の補給艦でどうするのかと気になっていた本シリーズ。なんと、海軍機からのミサイル発射という予想していなかった展開で進んでいきます。工作精度の問題で機銃弾すら補給を受けられないという絶体絶命の状態でレイテ沖の戦いに挑む派遣艦隊があわれなり。誘導していたヘリが撃墜されたりして破滅のときが加速的に近付いてくる緊迫した戦況が読んでいてドキドキなのです。最終巻でどうなっちゃうのか話のまとめ方が気になるところ。
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2003年04月25日

派遣艦隊出撃せよ 運命の漂流

KKベストセラーズ/2003年4月25日初版発行/848円/ISBN4-584-17929-8


派遣艦隊出撃せよ


インド洋に派遣された海上自衛隊の護衛艦「くらま」「きりさめ」補給艦「はまな」の3隻は凄まじい閃光とともに時空を飛ばされ、昭和19年へ迷い込んでしまった。元の時代へ戻ろれないかと3日間をその海域で待機したのち、補給のためにやむなく帝国海軍に協力することを決める。マリアナでの決戦に備え、タウイタウイ泊地で訓練を行なう機動部隊。隔絶した技術の差で潜水艦を狩る護衛艦の活躍で、十分な訓練を済ませ決戦へと望むのだった。

イージス艦でない護衛艦が2隻と補給艦という組み合わせが渋いですね。大胆に1個護衛群を送り込んでしまっても苦しいだろうに、このわずかな戦力で戦わせるというテーマがシリーズの見所となるのでしょう。戦力を集中して、一群ずつ確実に撃破していく小沢機動部隊の活躍が1巻目の山場。電子妨害で翻弄していくあたりは「そんなにうまくいくかねぇ?」という気がしますが、それでもかなりの被害を受けちゃいます。日本機の防御力のなさを改めて思い知らされる感じですねぇ。マリアナで撃退したあとどう戦っていくのか、今後の展開が気になりますね。
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2001年12月30日

凱歌の契約 新太平洋戦史3

KKベストセラーズ/2001年12月30日初版発行/848円/ISBN4-584-17905-0


凱歌の契約(3)


パラオ沖で大勝利を収めたものの、停戦交渉の呼びかけを無視された大日本帝國。やむなく三原提督は敵占領下のトラックを目標に設定。迎撃を試みる敵艦隊の撃滅をめざします……。敵戦力が蓄積される前に各個撃破しようというわけです。

しかし、その目論見は成功するものの見破られ、その後の米海軍は徹底的に交戦を避けるようになってしまう。各個撃破できない状態で三原長官はどのような策を用いるのか?

というシリーズ最終巻では、これまでの優位がすべて物量によるパワーで押し返される頃からの話に。絶望的な兵力差になるまで待って反攻してくる敵への対策はいかに!?

ってな最終巻。基礎体力の違いはどうにもなりません。国力で最初から勝負がついているとかいう話もありますが、この巻の米軍のようにどんなことがあっても敵を倍する戦力が揃うまで出撃しないという我慢強い強力な指導者がいる場合のみそれは有効かと。同程度、あるいは7〜8割の戦力があれば出撃させてしまう指揮官が多いのだから。ミスが少ないほうが勝つ。これが真理。しかし、本巻の結末は突飛のないもので衝撃的かもしれません。
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2001年08月20日

凱歌の契約 新太平洋戦史2

KKベストセラーズ/2001年8月20日初版発行/848円/ISBN4-584-17900-X


凱歌の契約(2)


初戦の南方では全力で戦ったものの、それ以降は消極的に艦隊を運用する三原提督。トラックすらも放棄することにして徹底した近海決戦を求めます。勢いに乗って侵攻してくる米軍。戦艦すらも重油輸送に使うなど、とても軍人からは理解できない計画で国力を蓄えて、来るべき決戦へ備えるのですが……。

予定通りトラックを奪われ、万全の準備で迎撃計画が進んでいる日本軍に対し、慢心して拙速を試みる米海軍。その決戦はパラオ沖で生起することに!

三原提督の元、いかに効率よく敵兵を屠るかで作戦計画を立案した帝國海軍は、慢心している敵艦隊を徹底的に粉砕。わずか10隻程度の残存艦以外は撃滅していくという展開が待っています。そう都合よく誘導できるわけなく、何処かでひと波乱なくていいのかなぁ……というぐらいの急展開。これまた終盤でのみ戦闘というこの著者のパターン。1巻あたり(大がかりなのは)1戦闘というのに不満を感じる人にはお薦めできませんね。
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2001年04月20日

凱歌の契約 新太平洋戦史

KKベストセラーズ/2001年4月20日初版発行/848円/ISBN4-584-17896-8


凱歌の契約


開戦直前に交通事故で亡くなった山本五十六。未曾有の危機を乗り切れる指揮官として、海軍を退役して航空機メーカーの社長である三原が登用される。軍で最後に頼りがちな精神力頼みを否定するため、あらゆる状況でコストと成果を求めるようになった帝國海軍。

大量生産可能な航空戦力の威力を隠すため、開戦時から当面は対艦攻撃を禁止。イギリス東洋艦隊の撃滅も、虎の子の第一戦隊を投入する決断を下す……。

と、まあずいぶんと変わった設定で始まる本シリーズ。徹底的な費用対効果を追求していくという、軍では非常に珍しい展開です。アメリカの太平洋艦隊が準備不足からすぐには出てこれないというのを読み、プリンス・オブ・ウェールズとレパルスの撃滅のために、長門と陸奥、伊勢と日向、そして金剛、比叡、榛名、霧島と8隻もの戦艦を投入する思い切った投資。当時の柔軟性が欠如した軍人には発想できないようなことですね。状況説明ばかりで、戦闘シーンはそこだけなので、ちょっとこのジャンルが好きな人でも好き嫌いが別れそうな気がします。
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2000年09月25日

漆黒の艦隊 THE SHADOW FLEET3 智将は闇に消ゆ

KKベストセラーズ/2000年9月25日初版発行/848円/ISBN4-584-17887-9


漆黒の艦隊(3)


再び機動部隊の参謀長として呼び戻された森は、夜間攻撃専門に作戦を切り替えさせることに奔走する。各地を転戦して敵空母を少しずつ確実に撃破していくが、敵も夜間戦闘機を配備するなど対策を進める。そしてついにマリアナという後には引けない場所へ機動部隊が出撃しなければならなくなる……。

無理して戦果をあげるより、被害を押さえて戦力の維持を目的とするように戻った機動部隊の活躍がいいですね。敵空母を漸減していくのには成功していますが、優秀な搭乗員を漸減させられているのではないかとも思ったりして……。この作家の作品には珍しくメロドラマがなかったのもよかったかも。
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2000年04月25日

漆黒の艦隊 THE SHADOW FLEET2 好機は闇にあり

KKベストセラーズ/2000年4月25日初版発行/848円/ISBN4-584-17880-1


漆黒の艦隊(2)


夜間攻撃に専念し、被害らしい被害を出さずに戦果だけはあげ続けてきた機動部隊の森参謀長。だが、GF司令部や軍令部には消極的としか思われず、新設の二十六航戦に左遷されてしまう。軍人は己の職務を果たすのみといわんばかりに、一式陸攻を夜間攻撃専用に改造して速やかな戦力化を行なうのだった。その錬成した部隊はガダルカナルの攻防戦に巻き込まれていく……。

成果を上げているのに正当な評価が得られないという不遇な森参謀長。戦果がすべてで戦力維持が二の次という日本海軍ではそうなってしまうのも不思議ではありませんね。それでも腐らずに立派に責務を果たすのが軍人の鏡というべきか。ことごとく進言をのけられて左遷させられたような彼は、どのような心境で戦ったのか。そのあたりが見どころでしょう。
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1999年12月25日

漆黒の艦隊 THE SHADOW FLEET 侵掠すること闇のごとし

KKベストセラーズ/1999年12月25日初版発行/829円/ISBN4-584-17869-0


漆黒の艦隊


真珠湾攻撃を検討した日本海軍は、機動部隊の参謀長に現実主義者の森昌彦を任命する。航空に疎い彼は研究を進め、ハワイ北方で電波を発信することで敵艦隊を誘い出し、夜間航空攻撃でこれを撃滅する作戦を立案。昼間は全戦闘機で直掩して徹底的に防御し、攻撃は夜間に限定するという方針を機動部隊に浸透させていく。防御力の低い艦載機の被害を抑え、戦力を失わないように戦おうというのだった。

いかにして優秀な搭乗員を失うことなく戦うかに苦心する森参謀長の苦労が見どころでしょう。反対意見が多い中、1つ1つ問題をつぶし、反対派を説得していくのは困難を極めます。その結果、予想を上回る大戦果に結びつくわけですが、戦闘描写が少ないので読み手側は少々不完全燃焼になるかもしれませんね。
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1999年04月25日

遙かなる戦旗5

KKベストセラーズ/1999年4月25日初版発行/819円/ISBN4-584-17848-8


遥かなる戦旗(5)


2度に渡るグアム沖の海戦で大損害を受けた米軍は、中部太平洋からの侵攻を断念。フィリピンから侵攻することにした。レイテに上陸して来たマッカーサー。そして発生するフィリピン沖での最終決戦。いよいよ指揮専用艦「東郷」が出撃する。

率直な感想をいうと「なんじゃこれ?」というひと言かな。海戦で1度しか活躍しなかった最新鋭戦艦の甲斐と越後を、主砲を全部撤去してすべて対空兵装に変えて防空艦に大改装したわりに、あまり活躍の場面が出てこない。表紙にもなっているのに……。まあ、いいけどね。対地攻撃機の雷獣などの活躍で陸戦は内陸部で侵攻を食い止め、あとは海軍次第ということになるんですが、30ノットで随伴する満載排水量3万トン級の補給艦ってのはスゴイ。こんな大胆な補助艦艇は初めて見たかも。艦載機の攻撃圏の狭さをこれで補おうというわけですね。確かに大胆に改装した防空艦などで防御に自信を持っていないとこんなことはできないのですが。

それにしてもウケたのは、「そんなこと知るものか。戦争は軍人に任せておけばよい。わしら政治家の仕事ではないからな」(極右系昭和維新党牟田口廉也議員談)ですね。いやはや、素晴らしき無責任さ(笑)。彼の武器横流しが国を救ってしまうのだから驚きの展開でした。
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1998年12月15日

遙かなる戦旗4

KKベストセラーズ/1998年12月15日初版発行/819円/ISBN4-584-17837-2


遥かなる戦旗(4)


開戦以来2隻しかいなかった空母もようやく玉麒麟、天麒麟の2隻が就役して戦力が倍増。グアムをめぐって機動部隊同士の戦いが発生する。300海里の攻撃圏を持つ米軍機に対して、1機1機は強力でも攻撃圏が200海里の日本海軍は工夫を凝らして戦っていくことになる……。

この巻で登場するのがわずか2カ月で量産できる双胴空母。6400トンと小型で消耗品と考えて本隊より前進。攻撃隊の補給専用に使うという戦術思想。それはいいんだが、搭載機なし……はぁ? 危険なんだから直掩機を数機載せるだろう。謎だよなぁ。

また、最終巻へ向けての伏線が出てくるわけですが、政治家になっている牟田口さんがなかなかやってくれます(笑)。
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1998年08月15日

遙かなる戦旗3

KKベストセラーズ/1998年8月15日初版発行/800円/ISBN4-584-17825-9


遥かなる戦旗(3)


ビアクへ上陸してきた敵陸軍を攻撃すると見せかけ、出現する敵空母を撃破することを狙う機動部隊。1隻を撃沈したものの消極的になった宇垣中将は撤退を決断して瀕死の2隻を逃してしまう。指揮官を中将に昇進した吉村に交代し、機動部隊は再びビアクへ向かう。

2巻では幡龍型空母は搭載機数40機と艦のデータを掲載していたのに、なぜか24機しか搭載していないのが謎。おかげで戦闘機隊は繰り返し出撃しなければならなくなるわけで。搭乗員の疲労を無視した迎撃戦や航空攻撃には驚くばかりです。
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1998年04月15日

遙かなる戦旗2

KKベストセラーズ/1998年4月15日初版発行/800円/ISBN4-584-17810-0


遥かなる戦旗(2)


新型機の開発を急ぎつつ時間を稼ぐ日本。ドイツへの輸送船団を攻撃してくる英艦隊を撃破するために第一戦隊の甲斐、越後、第二戦隊の能登、安房を派遣。全主砲を艦前部へ集中配備しているこの4隻の戦艦群でインド洋艦隊の7隻の戦艦を撃退する。また、北海道を奇襲攻撃してきた米機動部隊を叩くため、配備の始まったばかりの新型戦闘機蒼風を搭載して機動部隊は出撃する……。

本巻半ばぐらいまで状況説明に終始した眠くなるような話の進め方がちょっともの足りません。防御力を重視した新型機が揃うまで航空戦を避けている日本海軍にようやく戦闘機だけが配備されたのがシリーズ上のポイントでしょう。航続力を犠牲にして高速・重防御が特徴の蒼風。攻撃をかけてきた艦載機をたたき落とすことで敵戦力を削ろうという機動部隊の指揮官は、航空主兵派の宇垣でした(笑)。すごい世界です。
posted by 伊織舞也 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 大村芳弘