2005年08月25日

遠き曙光3 蘭印挟撃

中央公論新社/2005年8月25日初版発行/900円/ISBN4-12-500915-5


遠き曙光(3)


南方の資源地帯を抑えた日本軍への英米の反撃が始まった。英東洋艦隊と米太平洋艦隊が連携し、蘭印を挟撃するかのように進撃してきた。
メダンをソードフィッシュで攻撃してきた英東洋艦隊へ反撃を行なう帝国海軍は、第一南遣艦隊に増派された空母隼鷹と第二二航空戦隊でスマトラ沖の英軍空母に襲いかかっていく。
だが、本命の米海軍の新鋭戦艦部隊がバリクパパンへと迫っていた。迎え撃つのは伊勢と日向。はたして戦いの行方は?

2巻目と異なり帝国海軍の苦戦が続くストーリーとなっていました。やはりそうなるのかという感じですね。
インドミタブル、フォーミダブルの航空攻撃で翻弄され、かなりの損害を出しているし。反撃も出撃機数の割にフォーミダブルを撃沈するのみと戦果控え目であります。
バリクパパンでは伊勢級と戦わせるのはノースカロライナ級2隻とイジメていますが、伊勢の奮闘が熱くて本巻の山場かも?
ただ日向のほうはあっさりとしている感じで終わっていてアンバランスな印象を受けます。
たぶん戦隊司令の視点っぽくしようとしたからだと思うんだけど、いくらなんでも少なすぎるというか。
艦名が登場した途端に断末魔状態ですからね。
次巻はいよいよパレンバンをめぐる激闘となります。主力の第一航空艦隊の活躍に期待ですね。
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2005年06月25日

遠き曙光2 南シナ海海戦

中央公論新社/2005年6月25日初版発行/900円/ISBN4-12-500906-6


遠き曙光(2)


柱島奇襲で混乱する海軍の連合艦隊司令長官に陸軍嫌いの豊田副武がGF長官になる。だが、目前で海軍艦艇を守るために戦った陸軍戦闘機隊の活躍があっては、彼の口から出たのは「陸海軍の協調」という言葉であった。シンガポールの英東洋艦隊と合流して帝国へ物資が入らないように封鎖しようとする米海軍&英海軍。そこへ戦いを挑む帝国海軍最強の一航艦というストーリーです。

空母4隻を主体とする米機動部隊と、戦艦2隻を主力とする英東洋艦隊を相手に戦う帝国陸海軍というわけですが、海軍の基地を守るために陸軍が最新鋭の隼と鍾馗を装備した戦隊を投入など意表をつく展開となっていました。緒戦の敗北で慎重になっている帝国海軍は索敵・連携を重視して効率的な組織運用が自然と行なわれていくところがやや意外な感じですが、なによりも驚きなのはいつも日本軍にピンチを持ち込む著者が、今回は思う存分とまでは行かないかもしれないものの、帝国海軍を活躍させていることですね。緒戦の敗北と山本長官の戦死で、必要以上といえるほど慎重になった南雲長官が沈着冷静に航空戦の指揮を正しく執っていくあたりは驚きの展開ですよ。

空母の前衛で先行する砲戦部隊という体制がもう始まっているし、その砲戦部隊が英東洋艦隊と戦うというあたりが本書のクライマックス。
プリンスオブウェールズとリパルスに不利を覚悟で砲戦を挑む金剛と榛名の苦戦がストーリーを盛り上げてくれます。
海戦序盤に突入をしくじった水雷戦隊のミスで苦戦となるあたりは、またまたこの著者のお約束が来たのか、と思いましたが、意外に健闘。
シリーズ2巻目は予想外に活躍する帝国海軍が目立っていました。
これ、次巻でズドンと落とされるんでしょうか(本巻は引き立てのための話?)、それとも本シリーズは意表をついて帝国海軍が活躍するんですかね?
かなり気になるところです。
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2005年04月25日

遠き曙光1 柱島炎上

中央公論新社/2005年4月25日初版発行/900円/ISBN4-12-500893-0


遠き曙光(1)


ハワイ真珠湾を目指し択捉島に集結した機動部隊、そして南方作戦の準備で出撃していった各艦隊。手薄になった日本本土を、ハルゼー提督率いる空母五隻を基幹とした任務部隊が奇襲する。日本側がまったく想定していなかったアメリカ側からの昭和十六年十一月二十六日の開戦。「柱島空襲サル。演習ニアラズ」との警報もむなしく、長門、陸奥、扶桑、山城が沈没する。伊勢と日向も中破し、主力艦は壊滅した。長門にいた山本長官も戦死し、帝国海軍は大混乱に陥りつつも反撃を試みる……。



あざやかに奇襲された連合艦隊は戦艦群がいきなり壊滅しています。この作家はこれまでの作品で日本側をトコトンいじめる傾向があるのですが、開戦初日でここまで激減させてしまうとは思いもよりませんでした。予想以上の不利なスタート。竣工前の大和にも被害が出ているし、暗雲が垂れこむ新シリーズですね。全ての作戦が発動前に再検討となった日本軍は、台湾を基点にフィリピンへ向かう奇襲部隊へ反撃を開始していますが、そこでも龍驤を喪失しているなど失点続き。フィリピンへ空母が五隻(内二隻は被害あり)も入ったら南方作戦が危機的状況になるわけですが……。この危機を救えるのは南雲機動部隊しかなさそうな感じだけど、次巻でどのように関わってくるのでしょうかね?

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2004年08月25日

烈日 上 ミッドウェー1942

中央公論新社/2004年8月25日初版発行/900円/ISBN4-12-500863-9


烈日(上)


ミッドウェー海戦の焼き直し。大きな違いは、先に準備ができた第二航空戦隊が敵機動部隊へ向けて攻撃隊を発艦させていること。赤城と加賀が攻撃隊準備中に爆撃されて誘爆するし、蒼龍も被弾。蒼龍は助かるかもしれないが、ちょっとこれは……。架空戦記としては面白味に欠けるものでした。迫力ならミッドウェー海戦の手記でも読んだほうがいい。中途半端すぎです。下巻はパスするかも。

架空戦記を執筆するときの醍醐味の一つは、あの戦争を戦った人々の無念を、小説の形とはいえ、はらせるところにあります。(中略)本作では、その「無念」を残さず、登場人物が悔いなき一戦を戦えるよう、展開に工夫を凝らしました。


この「著者の言葉」を読んだから買ってみたものの、正直いって上巻は読むだけ無駄だった気がする。16ページぐらい下巻に追加して、上巻で史実とは変わっていた部分を説明するだけでよかったのでは?
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烈日 下 ミッドウェー1942

実業之日本社/2004年8月25日初版発行/900円/ISBN4-12-500864-7


烈日(下)


パスしようかと思ったが、やっぱり上巻を読んだら下巻までつき合うか……と結局購入しちゃいました。一時は蒼龍に損害を受けたものの、第二航空戦隊の活躍で航空隊はほぼ相打ちに。母艦は赤城と加賀が絶望的な中、敵の母艦はいずれも撃沈にまでは至らず、水上艦による決戦を求めて機動部隊の護衛艦艇は前進。敵空母が戦闘不能になっているからこそですね。ヨークタウンとホーネットを曳航しようとしていた敵艦隊も曳航を諦めて迎撃したため大規模な海戦が発生するというものでした。……やはり下巻だけでよかった気がする。要するにこれは帝国海軍の夢、艦隊決戦をさせたかったということ?
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1992年07月31日

鋼鉄のレヴァイアサン

徳間書店/1992年7月31日初刷/750円/ISBN4-19-154912-X



八八艦隊計画を実現し、大艦巨砲主義で第二次世界大戦が行なわれたという世界が部隊の架空戦記です。日本海軍は八八艦隊計画艦と大和級二隻で暴れ回り、航空機によって撃沈された戦艦がないという設定。沖縄特攻の大和の奮戦で大艦巨砲主義が証明された戦後ということで、日本は1万トン以上の艦の保有が禁止。アメリカが15万トン級の22インチ砲搭載の戦艦を保有し、ロシアがソ連時代に建造した21万トン級の25インチ砲搭載戦艦を保持しています。北朝鮮のクーデターから戦場になった朝鮮半島の戦いに、戦争の行方を左右する補給面で対馬がカギを握ることになるという話です。





ロシアの巨大戦艦ヴァツーチン1隻に対し、アメリカはリンカーン、ジェファーソンの2隻を繰り出して戦うことになるのがポイントとなっていますね。砲力で劣るとはいえ米海軍は倍の戦艦と高度な電子技術で対抗していこうとするのが面白いところ。イージスシステムでの圧倒的対空・対ミサイル防御力を誇る米海軍へのロシア側の攻撃は、わずか2発命中の成果に終わり、逆にロシア側は護衛艦艇の過半を撃破されるという遠距離ミサイル戦の結果から始まります。まあ、これは防御システムの装備からして妥当っぽい展開なのでありでしょう。ユニークなのは、制空権が奪われた状態での海戦を覚悟していた旧ソ連は、衛星軌道上の偵察衛星からの情報を射撃管制に利用しているということ。そういう発想のない米海軍はそれゆえに戦艦同士の戦いで敗北してしまいます。主砲の砲撃で弾着観測に人工衛星を利用するという大胆な発想がすごくて新鮮ですよね。





国際的な孤立を恐れて局地戦にしたい意志のあるロシア側の苦悩が実は見所なのかもしれないと思う作品ですが、自衛隊が意表をつく設計の新型対艦魚雷を投入して物語が急展開。作家のデビュー作らしいけど、確かに表現などで多少未熟な部分が見受けられるものの良作であることには間違いなし。

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