1992年07月31日

鋼鉄のレヴァイアサン

徳間書店/1992年7月31日初刷/750円/ISBN4-19-154912-X



八八艦隊計画を実現し、大艦巨砲主義で第二次世界大戦が行なわれたという世界が部隊の架空戦記です。日本海軍は八八艦隊計画艦と大和級二隻で暴れ回り、航空機によって撃沈された戦艦がないという設定。沖縄特攻の大和の奮戦で大艦巨砲主義が証明された戦後ということで、日本は1万トン以上の艦の保有が禁止。アメリカが15万トン級の22インチ砲搭載の戦艦を保有し、ロシアがソ連時代に建造した21万トン級の25インチ砲搭載戦艦を保持しています。北朝鮮のクーデターから戦場になった朝鮮半島の戦いに、戦争の行方を左右する補給面で対馬がカギを握ることになるという話です。





ロシアの巨大戦艦ヴァツーチン1隻に対し、アメリカはリンカーン、ジェファーソンの2隻を繰り出して戦うことになるのがポイントとなっていますね。砲力で劣るとはいえ米海軍は倍の戦艦と高度な電子技術で対抗していこうとするのが面白いところ。イージスシステムでの圧倒的対空・対ミサイル防御力を誇る米海軍へのロシア側の攻撃は、わずか2発命中の成果に終わり、逆にロシア側は護衛艦艇の過半を撃破されるという遠距離ミサイル戦の結果から始まります。まあ、これは防御システムの装備からして妥当っぽい展開なのでありでしょう。ユニークなのは、制空権が奪われた状態での海戦を覚悟していた旧ソ連は、衛星軌道上の偵察衛星からの情報を射撃管制に利用しているということ。そういう発想のない米海軍はそれゆえに戦艦同士の戦いで敗北してしまいます。主砲の砲撃で弾着観測に人工衛星を利用するという大胆な発想がすごくて新鮮ですよね。





国際的な孤立を恐れて局地戦にしたい意志のあるロシア側の苦悩が実は見所なのかもしれないと思う作品ですが、自衛隊が意表をつく設計の新型対艦魚雷を投入して物語が急展開。作家のデビュー作らしいけど、確かに表現などで多少未熟な部分が見受けられるものの良作であることには間違いなし。

posted by 伊織舞也 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 横山信義
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/4268510
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック