2007年02月10日

帝國海軍鬼道艦隊

実業之日本社/2007年2月10日初版発行/857円/ISBN978-4-408-60415-2




戦艦の弾着観測を確実に行なうため、帝國海軍は弾着観測専門の観測艦を建造することになった。
観測艦雲龍級は戦闘機と観測機のみを搭載し、商船構造で安価に建造された。
危険な爆弾庫や魚雷庫はなく、間接防御で被害を抑えるという発想で設計されていた。
中国軍との戦いに向かった雲龍は被弾し、海軍艦艇の脆弱性という問題を突きつけられ、防火対策といった改善を進めていくことになる。
その後、空母運用のあり方の研究が進み、制空権を確保できれば観測艦がなくてもよいと判断され、雲龍級は爆弾庫を増設して軽空母へと生まれ変わった。
そして緊迫する日米の状況下に、ウェーク島近海で米海軍を挑発する任務を受けて雲龍と天城を主力とする小規模な艦隊が出撃する。


弾着観測を専門に行なう観測艦という名目の空母という設定がユニーク。
どのように活躍するのか期待して読み進めていったら、残念ながら開戦時には空母になっちゃっていましたが(笑)。
机上演習で空母の運用を研究していたり、空地分離の研究も行なわれていたりいるので、次巻以降の展開はちょっと期待できそうな感じですね。
強襲偵察を行なえるよう15cm砲を搭載した雲龍と天城がニュートン少将の率いる空母レキシントンを中心とした艦隊と砲戦を開始するところが本書のクライマックスだけど、それまでは次巻以降への伏線となるであろう地味な話が多いのが好みの分かれそうなところかな。

気になる部分としてはいろいろあった。
本文中では「ウェーク島」となっているのに裏表紙では「ウェーキ島」となっているとか、中国軍相手に艦砲射撃をする戦艦伊勢の挿し絵が航空戦艦となっているとか。
挿し絵の問題は編集者の発注ミスだろうけど、ストーリー中で伊勢にする必然性がないので別の戦艦にしておけばこういうミスは発生しないような気もする。
P70では「観測艦雲龍は直接防御に力を入れた設計になっている」と記述されていて戸惑った。
実際には逆で「間接防御」と記述されていなければならない部分だけにね。
P187では「空母ポートランド」なんて艦種の取り違えもあるし、もうちょっと校正をしっかりやってほしいなぁ〜。
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2007年02月05日

教範遊撃隊血風録4 蒼海の死闘!

経済界/2007年2月5日初版発行/857円/ISBN978-4-7667-3120-0




ガダルカナル島へ上陸した米海兵隊を罠にかけ、補給を絶ち宣伝戦の材料にすべく工作を開始した教範遊撃隊。
島へ運び込まれたわずかな数の水上戦闘機によって作戦の修正が必要になったが、潜水艦と小規模な艦隊での完全な封鎖は上陸した海兵隊の食料事情は危機的な状況に陥らせた。
飢餓状態になったところへ人道的な見地からという名目で100トン近いパンを投下し、写真雑誌FRONTによって米国に揺さぶりをかけようとしていたのだった。
宣伝戦で後手にまわった結果、米海軍はガダルカナル島から海兵隊を撤退させるための艦隊を派遣する。



魚雷艇などを使って補給を続ける米海軍を潜水艦や艦載機で阻止していく地味な戦いが多い感じでしょうか。
水上戦闘機が活躍するガダルカナル島の戦いもそうですが、小規模な部隊同士で派手さはありませんね。
中盤からは宣伝戦のための布石だし、意外にまったりした感じで物語が展開している。
救援に向かう防空巡洋艦アトランタと軽巡ヘレナは、金剛を主力とする艦隊に割とあっけなくやられてしまうし、戦闘はあっさり気味。
空母ワスプと戦艦ワシントンを中核とした艦隊で撤退を成功させようとする作戦もあるけれど、最終章になってからなのでボリュームはない。
なにぶん最終章は宣伝戦の総仕上げとなる作戦も一緒に扱われているので、どちらもやや中途半端さを感じてしまう。
宣伝の切り札は空母瑞鶴の航空隊が西海岸へ雑誌FRONTを投下するというもので、そう来たかと意外な展開と感じたかな。
救援艦隊のほうはあっけなく機雷原で全滅するし、「なんだこの展開?」と驚いたね〜。
最終章に詰め込みすぎなことを考えると、もうちょっと作品の構想が長かったのに急遽これが最終巻となって慌ててて辻褄を合わせたようにも思える。
このため、ちょっと惜しいシリーズ作品になってしまったという印象だ。
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